Luke Vibert / B.J. Cole
_Stop The Panic_
(Cooking Vinyl, COOKCD193, 2000, CD)
- 1)Intro 2)Swing Lite - Alright 3)Dischorozilla 4)Start The Panic
5)This Stuff Is Fresh 6)Hipalong Hop 7)Nice Cave 8)Cheng Phooey 9)Fly Hawaii
10)Watery Glass Planet 11)Party Animal 12)Baby Steps 13)Songs Of The Night Life
- Produced, Arranged & Mixed by Luke Vibert & BJ Cole.
- Luke Vibert (programming), B.J. Cole (steel guitar,cheng);
Bobby Valentino (violin,mandolin,guitar), Ben Davies (cello),
Guy Jackson (synthesizer,piano,additional engineering),
Tom Jenkinson (electric bass), Andy Hamill (double bass),
Jeremy Simmonds (percussion).

England 出身ながら1970年代から folk revival に近い位置で country music を
演奏してきた steel guitar 奏者 B.J. Cole が、なんと、Cornwall 出身の
techno 〜 breakbeats のDJである Luke Vibert (a.k.a. Wagon Christ, Plug)
との共演盤をリリースした。といっても、B.J. Cole は1980年代に入ってから、
様々な「ニュー・ウェーヴ」バンドの録音にゲストで参加しており、異種
セッション慣れしているとも言えると思うが。

Luke Vibert の組む打ち込みは、drum'n'bass 的ではなく、もっと downtempo。
それほど複雑なパタンは用いておらず、lounge な感じすらある。steel guitar に
対する類型的な偏見もあると思うが、やはり、"Fly Hawaii" のような hawaiian な
雰囲気のある曲が良い。この曲は、electro 風のリズムもしっかりしていて、
アルバムの中で一番良いように思う。"Swing Lite - Alright" のオープニングの
guitar solo しても、滑るように音程が変わる guitar が気持ち良い、というか。
"Cheng Phooey" や "Fly Hawaii" のようなミドルテンポの electro 風のリズムに
乗ると、けっこう良いのだが。全体的には、ちょっとダレるかもしれない。

この2人の間を取り持った David Toop のライナーノーツによると、B.J. Cole から
"dance musician" と共演したいと話があったそう。そこで、Plug (Luke Vibert)、
Squarepusher (Tom Jenkinson) と Photek (Rupert Parkes) を聴かせたところ、
選ばれたのが Plug だったとのこと。ちなみに、Tom Jenkinson は el-bass 奏者
として参加している。techno 〜 breakbeats 界隈からは、あと、Jeremy Simmons が
参加している。

さて、関連する盤をいくつか軽く紹介。

Squarepusher
_Selection Sixteen_
(Warp, WARPCD72, 1999, CD)
- 1)The 'Eye 2)Square Rave 3)Time Borb 4)Dedicated Loop 5)Tomorrow World
6)Cool Veil 7)Schizm Track #1 8)Freeway 9)Snake Pass 10)Yo 11)Mind Rubbers
12)Tesko 13)Acid Tape Track
- Composed, Performed and Produced by Tom Jenkinson.

去年末にリリースされたアルバム。基本的に breakbeats の音作りなのだが、
先行したシングル _Maximum Priest E.P._ (Warp, WAP122CD, 1999, CD) と反して、
一時の dub 的な音処理もだいぶ控えめ。"Square Rave" (この曲のベースラインは、
New Order, "Confusion" そっくり。) のようなアップテンポの曲の方が印象に残る
アルバムになったように思う。リズムのメリハリもしっかりして良いように思う。
デビュー作 _Feed Me Wierd Things_ (Rephlex, CAT037CD, 1996, CD) ほど高速で
複雑なリズムは用いてはいないのだけど。そのテイストが戻っているように思う。

Richard Thomas
_Soggy Martyrs_
(Lo Recordings, LCD16, 1999, CD)
- 1)Basics Of Cardiac Ausculation 2)I Am Carnal, And I Know That You Approve
3)Ask The Eightball 4)Manicougan 5 5)Absolute Winter 6)Acid-free Atlantis
7)Echo/Kilo/Whisky 8)In Your Mouth 9)De Polie/Perla 10)Darkness Sucker
11)I Will Rock You 12)Ruthless People 13)Ice Cream/Fingers
14)The Eagle/N Space-Em Space
- Written & Produced by Richard Thomas.  Edited by John Tye.
- Richard Thomas (brass,etc), Thomas Chant (soprano saxophone),
Richard Glover (double bass,electric bas,percussion),
Julian Hayman (guitar,banjo), Gwen Jamois (electronics),
Carlton B. Morgan (flute,recorder,alto saxophone,violin),
Paul Welsby (drums).

先行する限定12"シングル Squarepusher / Richard Thomas _I Am Carnal,
And I Know That You Approve_ (Lo Recordings, LOEP12, 1999, 12") では、
Squarepusher (Tom Jenkinson) との協働という形を取っていたが、アルバムでは
特に Jenkinson フィーチャーせずに、むしろ、electron-acoustic / downtempo
breakbeats な要素もある jazz という色あいが濃い作品になっている。
AMM とのセッションでも知られる Thomas Chant が参加しているが、リズムが
あるので、improv. 色はあまり強くない。downtempo で lounge な感じ。

"Manicougan" のようなリズムにメリハリがあった曲がもっとあったら良いと
思うのだが、それはコンセプトではないのだろうか。

去年の後半に、Squarepusher (b), Richard Thomas (horn), Eddie Provost (g),
David Toop (key), Tom Chant (sax), Wagon Christ (a.k.a. Luke Vibert)
(turntable) でライヴをやっているので、その面子でアルバムを作って欲しかった
のだが…。少々残念。

2000/2/20
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕