Michael Riessler _Orange_ (Act, 9274-2, 2000, CD) - 1)W (Souvenirs D'Enfance) 2)2 Dans Un Cafe 3)Wagon 1 4)May Be 5-1)Wagon 2 5-2)Arabuno 6)Wagon 3 7)Atlas 8)Wagon 4 9)Orange 10-1)Annonce 10-2)Wagon 5 11)Itineraires / Verticalement 12)Je 13)Je Me Souviens - Recorded between 1999/7-8. - Michael Riessler (bass-clarinet,clarinet,soprano saxophone), Elise Caron (vocals), Jean-Louis Matinier (accordion), Pierre Charial (barrel organ). Mauricio Kagel の一連の作品の演奏 (特に、Mauricio Kagel, _Zwei Akte / Rrrrrrr... 5 Jazzstuecke / Blue's Blue_ (Audivis Montaigne, MO782003, 1990/1996, CD) はお勧めだ。) など現代音楽の分野での活動でも知られる、 ドイツ出身ながらフランスでの活動が主の free jazz / improv の reeds 奏者 Michael Riessler のリーダーでの新作は、vocal をフィーチャーしているが、 accordion と barrel origan とのトリオということで、伝統的は folk な傾向が 強い。hurdy-gurdy と tambourin と組んだ、Trio Clastrier - Riessler - Rizzo, _Palude_ (Wergo J, 8010-2, 1994, CD) と似たような傾向の作品だ。 この作品の聴きどころは、やはり barrel organ、つまり、手回しオルガンだ。 大道芸などの音楽に使われたりする、オルガン版のオルゴールとでもいうものだ。 それほど周期的な展開を見せないので、Charial の弾いているのは、パンチカード 式ではないかと思うのだが。そういう意味では、自動ピアノのオルガン版ともいえる。 大道芸とかで使うような長閑な旋律を奏でたりせずに、さらにあまり持続音を 用いずに、シュシュポポッシュ、ピポポという感じで、ひょうきんな感じで リズミカルな音を出すので、ちょっとパーカッションぽく聴こえる。だから、 ドラムレスだか、けっこうリズミカルだ。もちろん、Riessler が吹きそうな フレーズをさらに超絶にしたような旋律を弾くときもあるが。その使われかたが、 clarinet と accordion との良い対比となっていて、とても面白く聞かれる。 clarinet と accordion の弾くフレーズの展開は、例えば _Palude_ で聴かれる ようなものから大きく変わらないように聴こえるし、ちょっと高めの声でさえずる ような女性ヴォーカルも綺麗だが強烈な自己主張は無いのだが、この barrel organ の音の個性で、充分に新鮮に楽しめる作品になっている。 ちなみに、この作品で barrel organ を弾いている Pierre Charial は、 Michael Riessler, _Momemtum Mobile_ (Enja, ENJ9003-2, 1993, CD) にも 参加している。このアンサンブルでの作品に比べて、小編成の _Orange_ では 大活躍、といったところか。 Pierre Chariel は、他にも、Gyrigy Ligeti, _Mechanical Music - Gyrigy Ligeti Edition 5_ (Sony Classical, SK62310, 1999, CD) で、barrel organ のための曲を 6曲演奏している。このCDは、他にも metronomes のための曲を1曲、player pianos のための曲を収録しており、どのようにこのようなメカニカルでアコーステックな 自動演奏楽器を使っているのか少々気にはなっているのだが、残念ながら未聴だ。 2000/3/26 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕