Sera Una Noche
_Sera Una Noche_
(M.A Recordings, M052A, 1999, CD)
- 1)Malena 2)Soledad 3)Quedemonos Aqui 4)Vals En Mi 5)Cmo Dos Extranos
6)Nublado 7)Malena 8)Zamba De La Viuda 9)Quejas De Bandoneon
10)Tanguito Del 2000 11)Andrea En La Boca
12-1)Tristezas Por Un Ano 12-2)Fuimos 13)Volver
- Recorded 1998/6, Monasterio Gandara, Argentina.
- Santiago Vazquez (percussion,tablas),
Marcelo Moguilevsky (clarinets,recorders), Gabriel Kirschenbaum (guitar),
Martin Iannaccone (cello), Gabriel Rivano (bandoneon), Pedro Aznar (vocals).

店で聴いたときは、そのクリアな音とほとんど tango 色を感じさせない演奏に
Dino Saluzzi の新作だろうか、とも思ったこのCD。実際のことろ、Argentine の
若手ミュージシャンたちによるバンドのアルバムだった。

オープニングの "Malena" で、tango のスタンダード曲を8分の6拍子で演奏して
いるのだが、そのリズムアレンジの妙で引き込まれてしまう。Pedro Aznar 
(ex- Pat Metheny Group) の歌唱も入って、tango というより son のようにも
聴こえる。clarinet の太めの丸い音色のソロとちょっと退いた bandoneon、
guitar との絶妙な掛け合いが絶妙な vals criollo (南米風の waltz)、
"Vals En Mi" も美しい。という感じで、tango 曲が半数を占めるが、むしろ、
3拍子や6拍子のリズムの曲が印象に残るし、テンポを緩めにしてリズムに自由度を
上げたような曲も目立つ。

音色的には、bass clarinet と思われる太めの音と bandoneon の組み合わせが
最も気持ち良く聴かれる。が、軽目の recorder の音色も効果的。少々 folkrore
っぽい印象を加えているようにも思う。

こういう post-free jazz 的な world music のアプローチは、ECM 的だとも
思うし、そういう意味では新しいコンセプトではないと思うが、bandoneon と
clarinet の音色の組み合わせも気持ち良く楽しめる佳作だとは思う。

2000/3/27
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕