8 Bold Souls
_Last Option_
(Thrill Jockey, THRILL071, 1999, CD+)
- 1)Odyssey 2)Third One Smiles 3)Last Option 4)The Art Of Tea 5)Pachinko
6)Gang Of Four 7)Brown Town
- Produced by 8 Bold Souls and Casey Rice.  Recorded 1999/8/7,8.
- Harrison Bankhead (bass), Mwata Bowden (clarinet,baritone saxophone),
Robert Griffin (trumpet,flugelhorn,piccolo trumpet),
Isaiah Jackson (trombone,precussion), Naomi Millender (cello),
Dushun Mosley (trap drums,percussion), Gerald Powell (tuba),
Edward Wilkerson, Jr. (tenor saxophone,alto saxophone,clarinet,alto clarinet).

1980年代半ばから Chicago で活動する AACM (Association for the Advancement
of Creative Musicians) な jazz ensemble の新作。AACM の emsemble といっても
Art Ensemble Of Chicago から Anthony Braxton の Creative Orchestra まで様々
なタイプのものがあるわけだが、ノリ的に最も近いのは Henry Thredgill (ex-Air)、
それも Very Very Circus だろう。主にベースラインを取るのが tuba ということ
もあって、屈折した brass band という感じだ。Very Very Circus なら、ここで
Brandon Ross の歪んだ electric guitar が乱入してくる、というタイミングで
たいした変化が起きないので、いささか大人しいという印象が拭えなかったのだが。

1990年代前半の2枚のアルバム (_Sideshow_ (Arabesque Jazz, AJ0103, 1992, CD)
と _Ant Farm_ (Arabesque Jazz, AJ0114, 1994, CD)) を聴いていなかったので、
デビュー盤の _8 Bold Soul_ (Open Minds, 2409-2, 1986/1991, CD) 以来、久々に
聴いてみたのだが、この小粒な感じは、やはり否めない。デビュー盤の方が、まだ
元気な感じに聞こえるかもしれない。"Pachinko" みたいな、アップテンポで guitar
ではないが cello のソロも活躍するような曲は好きだし、もっとこういう曲で攻めて
くれれば、とも思う。

と、否定的に書いたが、tuba のような管がベースラインを取る演奏を収録したCDと
いうのは少ないので、それなりに楽しませてもらってはいる。Henry Threadgill,
_Too Much Sugar For A Dime_ (Axiom, 314-514 258−2, 1993, CD) とかを聴きがち
なのも事実だが。

Chicago の post-rock な音源をリリースしている Thrill Jockey から、その界隈の
録音で知られる Casey Rise との共同制作だが、録音はごく自然に行われている。
jazz と post-rock の出合い、みたいなものを期待するとハズすだろう。

さて、Edward Willkerson, Jr. の率いる AACM の big band に Shadow Vignettes が
あるのだが、そのメンバー Ernest Dawkins の率いる新たな 4tet の新作が出ている。

Aesop Quartet
_Fables For A New Millennium_
(8th Harmonic Breakdown, 8thHB80002, 1999, CD)
- 1)Summer Solstice 2)Egyptian Knight 3)Jamila's Song 4)Cuttin-N-Scratchin'
5)Graph-Ti-Fi-Ca-Tion 6)Tobias & Me 7)One-Minute Ballad 8)Improvisation #8
- Produced by Ernest "Knabeer" Dawkins & Aesop Quartet.
- Tracking & Mixing in Chicago, 1998/6/20 by Jim Cogan.
- Ernest Dawkins (reeds), Jeff Parker (guitar), Hamid Drake (drums),
Rollo Radford (electric bass); Rob Swift (turntables) on 4),
Reggie Gibson (pugilistic linguistics) on 3,5).

アコースティックな New Horizons Ensemble に比べ、エレクトリックな編成にし、
NY の Rob Swift のアクロバティックな turntalbe や、Reggie Gibson の rap を
フィーチャーした意欲作。まるで、sax とユニゾンしたり掛け合いしたりするような
Swift の scratch プレイなどは、さすがだ。一曲だけでなく、もっとこういう曲が
多くあれば良いように思うのだが。

だが、New Horizons Ensemble への Jeff Parker 加入のときにも思ったのだが、
彼の冴えない煮え切らない guitar プレイは、なんとかならないのだろうか。
Dawkins の管と Drake の drums の強度に比べ弱過ぎ。New Horizons Ensemble は
もちろん、Tortoise や Isotope 217、Chicago Undergroud Trio/Duo/Orchestra など、
活動が目立つ guitarist ではあるが、もっと個性的な guitarist だっているだろう、
と思ってしまう。

2000/4/23
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕