Kit Clayton _Nek Sanalet_ (~scape, 002CD, 1999, CD) - 1)Nuchu 2)Purpakana 3)Kalu 4)Aspoket 5)Nele 6)Nia-ikala 7)Surba 8)Inapiseptili - Composed and Produced by Kit Clayton. Plug Research のようなUS西海岸のレーベルで活動してきた San Franscisco 出身の techno アーティスト Joshua "Kit" Clayton の、Germany の ~scape レーベルからの新作。実は音はこのアルバムで初めて聴くのだが、 Stefan Betke (a.k.a. Pole) のレーベルらしく、彼がかつてカッティング・ エンジニアをやっていた Berlin のレーベル Chain Reaction の傍系というか、 ダブワイズでミニマルな techno サウンドが楽しめる。 ダブワイズといっても、メロディやリズムの点で reggae 風味はなく、 主に残響処理の仕方だけだが。あと、リズムの抜き差しが行われるところも、 Chain Reaction レーベルなどで聴かれる音とは異なる印象を与える。 明瞭なメロディは弾かないが、緩いオルガン風の keyboard の音もミニマルな 感じから外れるように思う。こういう味付けが楽しめる作品だと思う。 といっても、僕が聴いていて楽しめるのは、メリハリのあるリズムの "Aspoket" や "Nele" といったトラックではあるのだが。 Various Artists _Staedtizism_ (~scape, 005CD, 2000, CD) - 1)Siemens, Bioport (Gramm) 2).d/kompiila (Vladislav Deley) 3)Echelon (Sun Electric) 4)Milker (To Rococo Ro and I-Sound) 5)Reins (Kit Clayton) 6)Sachtesachte (Pole) 7)Pavonia Mix (Trash Aestetic) 8)Fellmaus (Thomas Fehlmann) 9)Eurojah (Immigrant Dub) (The Modernist) 10)Hard Drive Dub (Burnt Friedman & The Nu Dub Players) まだ、Kit Clayton と Burnt Friedman & The Nu Dub Players の作品 (アルバムは _Just Landed_ (~scape, 004CD, 1999, CD)) しかリリースしていない ~scape レーベルだが、コンピレーションがリリースされている。ダブワイズで ミニマルな techno という点で、このレーベルから予想される音から大きくは 外れていない。それなりに楽しめるが、物足りない気もする。 そんな中では、Koch-Schuetz-Studer のような free/improv や、Arto Lindsay のような avant-rock/pop との共演でも冴えている I-Sound が To Rococo Ro と組んだ "Milker" は意外な方で、もう少し作品を聴いてみたいとは思う。 他にもグーンというベースが気持ち良い Trash Aestetic, "Pavonia Mix" や、 メロディが "Artificial Intelligence" 界隈を思わせる、少々可愛らしい The Modernist, "Eurojah (Immigrant Dub)" も気になったが。あともう一歩、 レーベルカラーを越える音があると、展開が期待できそうにも思うのだが。 さて、それなりに気になる音をリリースしてくれる ~scape レーベルだが、 その主催者 Stefan Betke (a.k.a. Pole) の新作もリリースされている。 なぜか、~scape レーベルからではないのだが。 Pole _3_ (KiffSM, KIFF017CD, 2000, CD) - 1)Silberfisch 2)Taxi 3)Karussell 4)Ueberfahrt 5)Rondell Zwei 6)Klettern 7)Strand 8)Fohlenfurz - Written and Produced by Stefan Betke. 1stアルバム _1CD_ (KiffSM, KIFF012CD, 1998, CD) は新鮮に聴かれた Pole も、 2ndアルバム _2_ (KiffSM, KIFF014CD, 1999, CD) の高音でのメロディの入れ方は 普通の techno っぽくなってしまったように感じていた。 この新作では、高音が抑えられ気味で、音の重心がぐっと下がったように思う。 そして、それが気持ち良い。これは ~scape でのダブへの偏向にも繋がるのかも しれないが。オープニング "Silberfisch" のようにベースがメロディを辿るもの もあるし、エンディングの "Klettern" のような低音の響かせ方も魅力的だ。 "Taxi" や "Karussell" の断片的な高音で、さりげなくメロディを微かに感じさ せるやり方も良い。お勧めだ。 2000/6/18 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕