Ab Baars & Terrie Ex _Hef_ (Terp / Improv, IS-02, 2000, CD) - 1)Oud Over 2)De Jzeren Tulp 3)Stokdutter 4)Hamergaar 5)Yselijk 6)Termiet 7)Krijzeltanden I 8)Krijzeltanden II 9)M. Ali I 10)M. Ali II 11)Grameel 12)Grampel 13)Pets -> Knerp 14)Hef - Ab Baars (tenor saxophone,clarinet), Terrie Ex (Guitar). Han Bennink & Terrie Ex _The Laughing Owl_ (Terp / Improv, IS-03, 2000, CD) - 1)Kieft 2)Demp 3)Buus 4)Kluft 5)Het Spook En De Kaas 6)Knijt 7)Tzwet & Tkalf 8)Twototango 9)Tuk 10)Song Of The Slender Moa 11)Fik 12)The Laughing Owl 13)Skots & Skeef Skeef 14)Zeepijn 15)Dug 16)Gleufbij 17)Taailing - Recorded 2000/1/5. - Han Bennink (drums), Terrie Ex (guitar). 1970年代末から Holland を拠点に活動する post-punk バンド The Ex 。 その guitar 奏者 Terrie が、ICP (Instant Composers Pool) 界隈で活動する Holland の2人の free jazz / improv. のミュージシャンと共演した duo の CDが2枚出ている。内容は、free improv. 寄りのもの。The Ex と ICP というと、 もちろん、Terrie、Han Bennink、Ab Baars も参加した The Ex & Guests, _Instant_ (Ex, EX063/064D, 1995, 2CD) という作品もあり、その延長とも 言える作品だ。_Instant_ は12名のミュージシャンによる様々の組合せの セッションが収録されており、オモチャ箱をひっくり返したようないろんな 音がガチャガチャと収録された感じが楽しかったのだが。この2枚は duo と いうこともあり、いささか変化の少ない内容になっている。ちょっと雰囲気が 違うかもしれない。 Han Bennink との duo は、やはり Bennink と Derek Bailey (guitar) との duo と比較してしまうのだが。実際、Terrie の guitar がカリカリと引っ掻く ような高い音を立てるときが多く、そのときは Bailey に似ている。こういう 時の音は Bailey の脈略の無さの方が面白いように思うし、いささか半端に 感じてしまう。むしろ、punk 的なイデオムが微かに現れるときの方が、面白い ように思う。例えば、"Knijt" でのガリガリいう低音のカッティングや、 "Skots & Skeef Skeef" でのジャジャジャジャジャンという緩めのカッティングは rock 的なカッティングをミニマルにした感じもあるし。"The Laughing Owl" のちょっと間のあいたフレーズもちょっとブルースっぽい感じが良い。 Bennink が手数多く叩いていることが多いために、間合いを使った展開が それほど多く無いのが、少々残念。 一方、Ab Baars との duo は間合いを使った音作りになっている。Baars の reeds はピロピロと短い音を連ねているか Steve Lacy のような飄々とした 間合いのあるフレーズを吹いていることが多く、強くブロウするようなことは 多くない。そんな音に対して、Terrie の guitar のフレーズも緩め。 Loren Mazza-Cane Conners を思わせるような音数少なくマイナーな旋律を ゆっくりと奏でていく "De Jzeren Tulp" や "Hef" が気にいっている。 低い bass のような guitar 音を間を置いて弾く "Grameel" のような曲も 好きだが。 ただ、この2枚を聴いていると、duo ではなく、この3人による trio 編成での セッションの方が、展開がもっと多様になって楽しめたのではないか、と、 思ってしまうのも、確かなのだが。 2000/7/9 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕