Laika _Good Looking Blues_ (Too Pure, PURE89CD, 2000, CD) - 1)Black Cat Bone 2)Moccasin 3)T. Street 4)Uneasy 5)Good Looking Blues 6)Widows' Weed 7)Glory Cloud 8)Go Fish 9)Badtimes 10)Knowing Too Little - Written, Engineered and Produced by Margaret Murphy Fiedler and Guy Fixen. - Margaret Murphy Fiedler (vo,samples,guitar,rhodes,minimoog,clavinet), Guy Fixen (rhodes,minimoog,clavinet,prophet,samples,guitar,backing vo.), John Frenett (bass guitar), Lou Ciccorelli (drum kit,congas); Pete Whyman (bass clarinet), Danny Doyle (turntable), Matt Bange (trumpet), Louise Elliott (flute), Rob Ellis (prepared piano,percussions). 元 Moonshake のメンバーが1990年代半ばに結成した4人組の 3rd アルバム。 これが、予想外にカッコイイ出来だ。 techno 〜 breakbeats なリズムを背景に、女性歌手 Fiedler の呟くような 歌声をフィーチャーした音で、生演奏っぽさを残しいた Scala (同じく Too Pure からリリースのある、ex-Seefeel なバンド。) 、というのが、今まで聴いて きた Laika のイメージだった。1st の _Silver Apples Of The Moon_ (Too Pure, PURECD42, 1994, CD) を聴いたときは、エスニックな音色に耳を 引かれたものの、細かく刻む高音に低音が付いていっておらずそのビート感の 無さが魅力を削いでいた。2nd の _Sounds Of The Satellite_ (Too Pure, PURECD62, 1997, CD) からは、Cabbage Boy (a.k.a. Si Begg) や Luke Vibert による remix を収録した _Almost Sleeping_ (Too Pure, PURE71CDS, 1997, CDS) をリリースしたが、それにしても、リズムの弱さは否めなかった。 しかし、この新作は違う。1曲目の "Black Cat Bone" から違う。リズムに メリハリが生じて、trip hop を思わす同音を連打するような bass line が 引っ張るようなノリを生んでいる。Fiedler の歌声ももっと表に出るような 録音がされており、呟くような、というよりも、ちょっと rap がかった歌唱に なったように、思う。そういったことにより曲の輪郭がくっきりして、とても カッコ良くなったように思う。 7拍子の funk 曲 "Widows' Weed" ともなると、rhodes や bass clarinet、 さらに丸い音の trumpet の音色もあって、まるで1970年前後の electric な Miles Davis を techno 〜 breakbeats 世代の音に作り直したような感すらある。 管楽器はフィーチャーしていないが、やはり7拍子の曲である "Moccasin" でも、 ノリは充分ある。もちろん、funk な曲ばかりではないが、アルバム全体に electric Miles Davis の影響を強く感じるアルバムだ。 jazz 寄りの文脈から electric Miles Davis 的な音を techno 〜 breakbeats の 枠組みで蘇らせよう、というプロジェクトとしては、Nils Petter Molvaer や Bill Laswell のものをまず思いだすわけだが、それらよりも、この Laika の このアルバムの中の曲の方が、ドライヴ感といい、格段にそのノリを再現して いるように感じる。そして、それが僕がこのアルバムを気に入っている一番の 理由だ。お勧めしたい。 2000/8/21 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕