Kev Hopper
_Spoombung_
(Thoofa, THOOFA1, 1998, CD)
- Recorded Summer 1997 and Winter 1998.
- Kev Hopper (bass guitar,musical saw,sampler), Adam Brett (sampler),
John Butcher (saxophone), Charles Hayward (bells),
Ian Smith (trumpet,flugelhorn).

Kev Hopper
_Whispering Foils_
(Duophonic Super 45's, DS45-CD26, 2000, CD)
- Recorded and Mixed 2000/4-9.
- Kev Hopper (bass guitar,musical saw,sampler), Janie Armour (accordian,organ),
Charles Hayward (cymbals), Dominic Murcott (percussion,tuned percussion),
Sean O'Hagan (guitar,vocals), Andrea Spain (clarinet,bass clarinet),
Ian Smith (flugelhorn,trumpet).

Stump は1980年代半ばに Manchester から出てきた4人組の guitar band だった。
Ron Johnson レーベル所属のバンドらしい off-beat な感覚が独特のバンドで、
伝説的な編集盤 Various Artists, _NME C86_ (Rough Trade, ROUGH100, 1986, LP)
にも参加している。Ron Johnson 在籍のバンドの中では出世頭だったものの、
Holger Hiller (ex-Palais Schaumburg) を制作に迎え、Hiller の音を4ピース
guitar band で実現しようかという感もある怪作 Stump, _A Fierce Pancake_
(Ensign, CHEN9, 1988, LP) をリリースした後、解散してしまった。

Stump の bass 奏者の Kev Hopper も、その後、サンプリングを多用して、より
Holger Hiller 的になったソロ _Stolen Jewels_ (Ghetto, GHETTD4, 1990, CD) を
リリースしたが、それ以降、活動を聞かなくなっていた。そんな、Kev Hopper が
戻ってきた。1998年に自身のレーベル Thoofa からアルバムを一枚リリースして
いたようだが、最近、Stereolab のレーベル Duophinic Super 45s から、
新作アルバムをリリースした。

drums の Charles Hayward (ex-This Heat) などメンバーは重なるけれども、
音作りはかなり異なる。最初の _Spoombung_ はミニマルな即興演奏が主である
のに対して、続く _Whispering Foils_ はぐっとメロディアスでいささか
ギクシャクしているがビート感もあるインストゥルメンタルな演奏となっている。
_Spoonbung_ はいささか音の垂れ流しという即興の悪い面も出ているように
思うけれども、_Whispering Foils_ は不気味可愛い音作りの秀作だ。

_Whispering Foils_ では、Kev Hopper が bass 奏者であることもあり、dub 的に
ズーンと響いたり、低音をぐっと出してうねるようなノリを出している曲が多く、
いささか可愛らしく鳴る高音の旋律部 (特に vibes や tubular bells のような
鳴り物) との、ちょっと不釣合いに感じる組み合わせも面白い。

また、鋸を曲げて弓で弾く musical saw の音色も Theremin にも似た不安定な
音程がいささか不気味可愛い雰囲気を作っている。特に、Sean O'Hagen
(The High Llamas) 作の "Lamalou Les Bains" や "Mr Chuff Chuff" は、
bass-less で Murcott の marimba と O'Hagen の guitar による easy listening
的な優しく爽やかな伴奏に musical saw のソロが乗る曲など、その不釣り合いさが
最高に良い作品だ。

可愛らしい旋律を持つ曲も多いのだが、それを不釣り合いな音の組み合わせで
ズラす感覚がとても面白い _Whispering Foils_ はお勧めだ。

2000/9/17
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕

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Barry Lazell (comp.), _Indie Hits 1980-1989_ (Cherry Red Books,
ISBN0-95172-069-4, 1997) には Stump は "from Manchester" と書かれており、 
それに基づいて上では「Manchester から出てきた」と書いた。しかし、
アンソロジー _The Complete Anthology_ (Castle Music / Sanctuary,
CMETD1571, 2008, 3CD) のライナーノーツによると、 Manchester とは
関係無いようだ。 Ron Johnson レーベルの他のグループとの交流らしきものも、
ライナーノーツでは触れられていない。

2008/6/22 追記