Denez Prigent _Irvi_ (Rosebud / Barclay, 543 647-2, 2000, CD) - 1)Gortoz A Ran 2)Ar Mab-laer 3)Melezouriou-glav 4)Evit Netra 5)Hent-eon 6)A-drenv Va Zi 7)Daouzek Hunvre 8)Ar Chas Ruz 9)Ar Warizi 10)Yann Chaseour 11)Gortoz A Ran (Elegia remix) - Denez Prigent (vocals), Lisa Gerrard (vocals), Davy Spillane (Uilleann pipe), Sylvian Barou (Irish flute), Mathilde Walpoel (Celtic harp), Jean-Marc Illien (piano), Quatuor Actuels (strings), David Rusaouen (drums), Damien Herve (electric bass), Laurent Collat (programmings), Valentine Clastrier (electroacoustic hurdy-gurdy), Mickael Cozien (Scotish bagpipe), Jerome Seguin (electric bass), Bertrand Cantat (vocals), Louis Sclavis (clarinets), David Pasquet (bonbardes), Nabil Khalidi (oud). France は Bretagne 出身の Celtic folk 歌手の新作。前作、_Me 'Zalc'h Ennon Ur Fulenn Aour_ に続いて、programming / breakbeats を導入しての音作りで、 rock/pop 系のレーベル Rosebud からのリリースだ。 今作の programming / breakbeats の音作りは、France の代表的な techno 〜 breakbeats 系のレーベル F-Communication を拠点に活動する Laurant Collat (a.k.a. Elegia) 。4ADレーベル古参の耽美派のバンド Dead Can Dance の 女性歌手 Lira Gerrard や、French altanativ rock バンド Noir Desir の 男性歌手 Bertrand Cantat をゲスト歌手として迎えている他、hurdy-gurdy の Velentine Clastier や、Davy Spillane のような Celtic folk でメジャーな ミュージシャン、Louis Sclavis のように folk と近い位置でも活動する free improv. / jazz のミュージシャンも参加しており、前作以上に豪華な メンバーを揃えている。 しかしだ。そのメンバーによって期待されるほどに刺激的な音は、このCDには 収録されていない。オープニングの "Gortoz A Ran" での Lisa Gerrard との デュオなど、そのいささかオフビートな雰囲気でいくなら、This Mortal Coil (Lisa Gerrard も参加した 4AD レーベルのプロジェクト) くらいの歪んだ感覚を 加えれば良いのに、とも思う。そういう点では、Bertrand Cantat のシャガレた 呟きや Louis Sclavis のいささかフリーキーな clarinet のフレーズを フィーチャーした "Daouzek Hunvre" の方が面白い音作りだと思う。 Sclavis - Clastrier - Illian の trio に Collat の programming を併せた 背景に歌う曲は、もう一曲 "Yann Chaseour" があるが、これもオフビートながら 良い出来だと思う。 "Evit Netra" のような uptemp な breakbeats は、もはや新鮮味に欠けるけれど。 そういう点では "Ar Chas Luz" のギクシャクしたビートの方が面白いし、続く、 "Ar Warizi でフィーチャーされる oud の音色の方が新鮮に感じた。 確かに、前作よりは完成度は上がっているように思う。このCDを最も滑らかで 引っ掛りの無い感じにしているのは、実は、Prigent の高く通る歌声がCDを 通して聴かれるからではないかと思うだけに、むしろ、Prigent を歌手に フィーチャーすることに拘らずに、この手のセッションを展開して行ってもらい たいと思うのだが。 2000/10/22 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕