Paul Bley / Evan Parker / Barre Phillips _Time Will Tell_ (ECM, ECM1537, 1995, CD) - 1)Poetic Justice 2)Time Will Tell 3)Above The Tree Line 4)You Will, Oscar, You Will 5)Sprung 6)No Questions 7)Vine Laces 8)Clawback 9)Marsh Tides 10)Instance 11)Burlesque - Produced by Steve Lake. Recorded 1994/1. - Paul Bley (piano), Evan Parker (tenor and soprano saxophones), Barre Phillips (double-bass). Paul Bley / Evan Parker / Barre Phillips _Sankt Gerold Variations_ (ECM, ECM1609, 2000, CD) - 1-12)Sankt Gerold Variations 1-12 - Produced by Manfred Eicher and Steve Lake. Recorded live 1996/4 at the Monastery of Sankt Gerold. - Paul Bley (piano), Evan Parker (tenor and soprano saxophones), Barre Phillips (double-bass). 5年前に1作目 _Time Will Tell_ をリリースした Bley / Parker / Phillips の トリオの2作目 _Sankt Gerold Variations_ がリリースされた。といっても、 新録ではなく、4年前のライヴ音源のCD化だ。5年前のアルバム _Time Will Tell_ を受けてのライヴともいえるものだ。というわけで、2枚併せて紹介したい。 このトリオの原点の一つは、_Time Will Tell_ に触れられているように、明らかに Bley がメンバーの一人だった1961-2年の Jimmy Giuffre 3、それも、彼らが残した 3枚のアルバムの最後も最も即興的な作品 _Free Fall_ (Columbia, CS8764, 1962, LP / Columbia Legacy, CK65446, 1999, CD) だろう。sax / piano / bass という drums-less な編成はもちろんそうだし、_Free Fall_ のCD化の際のボーナス・ トラックには "Time Will Tell" という題の曲がある。 しかし、もちろん Jimmy Giuffre 3 そのまま、というはずはないし、特に _Sankt Gerold_ を聴くと、遠くへ来てしまったものだ、と感じる。特にそれを 痛感させるのは、Parker の sax。tenor の重い音は Giuffre は用いない音 だったし、循環気法によるピロピロいう音もそうだ。逆に、昔と変らず、 旋律を重視した演奏をする Bley が、ある意味で、この trio の演奏を引き 止めている。そして、この2人の綱引きが、この trio の魅力だ。もちろん、 その間を取り持つ Phillips の役割も欠かせないのだが。_Sankt Gerold_ では、 いささか Phillips の音出しが Parker 寄りで、バランスを崩しているように 感じる。ライヴ録音ということで、即興性が高くなった、ということもある だろうし、ソロの演奏が半分以上ある、ということもあるだろう。もし、 _Fusion_ (Verve, 1961)、_Thesis_ (Verve, 1961) (_1961_ (ECM, ECM1438/39, 1992, 2CD) としてCD化されている。) から _Free Fall_ への歩みをもう二歩 踏み出したら、こうなるのだろうか、と思うところもあるが、そう踏み出さな かったのが Giuffre なのだろうなぁ、と思う。 2000/11/27 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕