Various Artists _Kwaito - South African Hip Hop_ (Earthworks / Stern's, STEW42CD, 2000, CD) - 1)Qula (Brenda Fassie) 2)Yiyo Lendawo (Arthur) 3)Amadlozi (Bongo Maffin) 4)Vuk'uzenzele (Aba Shante) 5)Jiva (Brenda Fassie) 6)Makhamisa (M'du) 7)Yu Make Me Go Mmm (Arthur) 8)Come Ge Me (Aba Shante) 9)Nkosi Sikelela (Boom Shaka) 10)Make Em Bounce (Jimmy B) 11)Siya Jola (Ok'salayo) (M'du) 12)Vuli Mdlela (Remix) (Brenda Fassie) 13)Wara Wara (Spokes "H") 14)Kaffir (Arthur) - Compiled by Trevor Herman. 1980年代半ばから続く South Africa のポピュラー音楽を編集した名シリーズ _The Indestructible Beat Of Sowet_ の第六集 _South African Rhythm Riot_ (Earthworks / Stern's, STEW38CD, 1999, CD) で、初めて耳にした最新の ダンス音楽のスタイル Kwaito 。その編集盤でも予告されていた Kwaito のみの 編集盤をやっと入手することができた。期待を裏切らない興味深い内容だった。 Brenda Fassie、Arthur、Aba Shante と _South African Rhythm Riot_ にも 収録されていたミュージシャンもいるが、半数程度。 副題は South African Hip Hop となっているが、重めの downtempo breakbeats を 背景に rap するようなスタイルの曲はほとんど無く、むしろ、打ち込みのノリは 派手目に uptempo で house の影響が最も強いように思う。Brenda Fassie の 歌唱にしても R & B / soul 風という感じだし、非英語的に訛っているせいか、 MC のスタイルは Ragga からの影響が強いように感じる。West Nkosi 制作の Jimmy B, "Make Em Bounce" などは、guitar のフレーズなどに、1970〜80年代の South Africa の代表的なポピュラー音楽だった zulu jive の雰囲気を強く残し つつも、reggae 的な打ち込みと Rap を巧く合わせていて、最も気に入った トラックだ。_South African Rhythm Riot_ に収録されていた、electro な Brenda Fassie, "Vuli Mdlela" も house 風な remix がなされていて、なかなか 興味深かったけれども。 ここに収録されている音は決して洗練された音ではないが、South Africa 版 hip hop 、もしくは、South Africa 版 house というよりも、zulu jive はもちろん house, hip hop, R&B, ragga を幅広く雑食的に取り込んだ感じが、とても面白い と思う。もちろん、今後、Kwaito というジャンルとして様式化されていくのかも しれないし、ライナーノーツにもあるように South Africa の "authentic street sound" となりつつあるのかもしれない。(Bongo Maffin のメンバーは大卒の学位を 持つようで、実際は現地ではインテリ層が作っている音楽なのかもしれないが。) そして、その立ち上がり期のならではの勢いの面白さなのかもしれない、とも思う。 この変化は、Jamaica の音楽における ska 〜 roots から dance hall 〜 raggae への変化や、funk から hip hop への変化にも似ているように思う所もある。 もちろん、自律的というには外からの影響の大きいという点では、必ずしも 一致しないとは思うけれども。South Africa 発の都市型ダンス音楽として欧米へ 影響がフィードバックしたら面白いようにも思うのだが。 2000/12/23 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕