Tomoko Mukaiyama _Amsterdan x Tokyo_ (BVHaast, BVH1000, 2000, CD) - 1)Techno Etudes (Karen Tanaka) 2)Just Before (Michel van der Aa) 3)Fluweel (Toek Numan) 4)Away From Home With Eggs (Makoto Nomura) 5)Black Mass (Merzbow / Atsuihiko Gondai) - Recorded at Studio Graslands in Haarlem, 2000/8/22,23. - Tomoko Mukaiyama (piano). Amsterdam を拠点に活動する Classical music の文脈にいる piano 奏者 向井山 朋子 の新作は、piano とテープのための作品を集めたもの。実際のところは、これらの 曲は、真っ白な空間の中に仕切入りの水入りのビニールのシートを吊るして金魚を 空間にマトリックス状に配した Digital PBX によるインスタレーションの中での 演奏を想定したもののようで、2000年12日に青山 Spiral の でも演奏されている。 残念ながら僕は観に行っていないが。 インスタレーションの中でのパフォーマンス抜きで音を聴くと、テープの音を合わせた piano ソロという感じ。テープを使わない曲もあるが。強いタッチの多い派手な 音色の piano の音は、リズミカルな感じもあって好きなのだが。それがテープの 音と合わさっても、それほどはっとするような展開になるわけでもないように思う。 娘や老婦人の語りのコラージュも入る 野村 誠 の "Away From Home With Eggs" に しても、語りのテーマは _Women Composers_ (BVHaast, CD9406, 1994, CD) などで 見せている以前からの社会的な態度とも関係しそうな感じのものだが。その割には、 自身の歌い方がどうも保守的な印象を受けてしまうのが、逆効果か。 Merzbow (秋田 昌美) が彼女の piano の音を元に "noise" を作り、その noise を 権代 敦彦 がローマ・カトリックのミサの楽章に似せて5分割して作ったテープに、 piano の演奏を合わせた "Black Mass" は、流石に piano の音を掻き消すような 爆音 noise ではなく piano に合わせている感も。ミサ曲ということなのか、どうも piano の演奏が重々しいという感じがするのがあまり好きで無いのだが。noise と 付かず離れずリズミカルな演奏をするとかした方が、noise vs piano という点で 面白そうな気もするのだが。 piano の音色とか嫌いではないし、たまに聴いてみようと思うだろうけれども、 Tomoko Mukaiyama, _Women Composers_ (BVHaast, CD9406, 1994, CD) を初めて 聴いたときのようなトキメキはもう無いのかなぁ、と思うような、そんな作品だった。 2000/1/8 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕