Femmouzes T. _Femmouzes T._ (Willing Productions, WG9602, 1996, CD) - 1)ST. Sernin 2)Tolosa Tango 3)Il Faut Payer 4)Cajuina 5)Parle D'Amour 6)Olympe De Gouges 7)Madame 8)C'est Carnaval 9)St. Just Blues 10)La Valse (Amour Au Printemps) 11)Baiao 12)Plage Du Capitole - Francoise Chapuis (voix,tambourin,surdo,triangle,bruits de bouche, percussions fires,boire de cachou), Rita Macedo (voix,accordion,percussions fines,berimbau). Femmouzes T. _2_ (Creon Music / Virgin (France), 530104-2, 2000, CD) - 1)Le Bleu 2)Je Nettoie 3)Si Tu Sais Pas 4)Chanson Damoure 5)Quan Vei Los Praz Verdesir 6)Je Vois Les Pres Verts 7)Le Pour, Le Contre 8)Papagaio Du Futuro 9)Uzesle Festival 10)Hino Nordestino 11)Nosso Grande Noe 12)Voyager Dans La Musique - Produced by Jean Marc Enjalbert. Edited and Mixed by Michel Eskenazi, Jean Marc Enjalbert and Femmouzes T. - Francoise Chapuis (voix,tambourin,etc), Rita Macedo (voix,accordion,etc); Jean Marc Enjalbert (samples,programming,etc), Alain Salvagniac (samples), etc. 南仏 Languedoc (現在の地域では Midi-Pyrenees) の中心都市 Toulouse 出身の 女性2人組 Femmouzes T. が新譜をリリースしたので、リリースから暫く遅れて 聴いたため紹介しそびれていた4年前の1stアルバムと一緒に紹介したい。 市場での大道芸として演奏していた、という逸話通り、主にタンバリンのような 手持ちの鳴り物とアコーディオンだけ、というミニマルでアコースティックな 伴奏で、ラップするかのようにリズム良く歌う、のが、1st アルバムでの彼女 たちのスタイルだった。南仏の吟遊詩人トロバドールを現代的に生き返らせよう、 という試みというと、同郷 Toulouse 出身の男性2人組 Fabulous Trobadors が いるわけだが、その Claude Sicre の曲を2曲取り上げているし、その妹分と みなされること多い。歌詞は主に Oc 語 (南仏の言葉。トロバドールの言葉。) で 「愛を語るならトロバドールの言葉」と歌い上げる "Parle D'Amour" という歌も あった。その一方で、片割れ Macedo は Brasil 出身であり、Dorival Caymmi や Caetano Veloso の歌も取り上げていて、MPB的なリズムも取り入れていた。 しかし、CDで聴いていても、演奏や歌が巧いというよりも、元気さというか ノリの良さで持っていってしまうような感じ。実際に街角で大道芸していたら、 一緒に盛り上がりたいなぁ、と思うような音だった。 それから4年後、久々にリリースされた新作は、ゲストのミュージシャンを迎え スタジオで作り込まれた音になっていた。特に、打ち込みや breakbeats を導入 した曲も多く、オープニングの "Le Bleu" からして ragga 風味でかなり 雰囲気が違う。"Papagaio Du Futuro" や "Hino Nordestino"、"Nosso Grande Noe"、 "Voyager Dans La Musique" なども、かなり downtempo breakbeats 的な アプローチを感じさせるものだ。そして、その低音の使い方は好きだが。しかし、 確かに、彼女らの演奏するタンバリンやアコーディオンがどの曲でもフィーチャー されているが、その音は全体からぐっと後退した感じ。制作は凝っているけれど、 音から聴かれる勢いがだいぶ殺がれてしまったように思う。それに、歌詞カードを 見みながら歌詞を追ってみると、Oc 語ではなく France 語の歌詞も多く、 そういったところも彼女らの勢いを殺いでいるかもしれない、と思うところも あったりする。もちろん、活動の幅を広げて行く過程で止むを得ないところも あるだろう。ちょっと過渡期なのかな、と、思わせるような仕上がりの一枚で、 ちょっと残念。 2001/1/22 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕