Tim Berne _The Shell Game_ (Thirsty Ear, THI57099.2, 2001, CD) - 1)Hard Cell (for Tom) 2)Twisted/Straight Jacket 3) Heavy Mental (for Wayne Krantz) 4) Thin Ice - All compositions by Tim Berne. Produced by David Torn. Recorded 2001/1,2. - Tim Berne (alto saxophone), Craig Taborn (electronics and keyboards), Tom Rainey (drums). 1980年代からNY界隈の free jazz / improv や John Zorn 界隈で活躍する Tim Berne の久々のリーダー作。 Bloodcount のような勢いのあるパワフルな演奏というよりも、むしろ、Miniature (Joey Baron (ds) - Hank Roberts (cello) - Tim Berne) の流れを汲む静的な 感じの音だ。編成的には Paraphrase の bass 奏者 Drew Gress が Craig Taborn (Carl Craig's Innerzone Orchestra) に置き換わったものだが、むしろ、その前の Marc Ducret (guitar), Tom Rainey との bass-less guitar trio Big Satan に 雰囲気は最も近いだろう。(Tim Berne, _Big Satan_ (Winter & Winter, 910 005-2, 1997, CD) で聴くことができる。) といっても、guitar と keyboard ということもあって、違いもある。Berne が bariton を吹かない一方、Taborn が比較的低音の持続音を出すことも多くなって、 低音を巡る位置関係は Big Satan や Paraphrase よりも動的だ。Taborn の音の 出す音がときおり ambient 色濃くなり過ぎるような気もするが。あと、1990年代 前半に James Carter 界隈で弾いていたときのようにパーカッシヴな piano を Taborn が弾いてくれたりすると、変化もあって面白くなったように思うのだが。 このような音作りというと、この近傍では、Ellery Eskelin (tenor sax) - Andrea Parkins (accordion,sampler) - Jim Black (ds) の trio (Songline, hatOLOGY から数枚リリースがある) もあるので、それほど新鮮というほどでも無い。 しかし、Tim Berne の太めの音色も好きだし、Minituare 以来続いている Tim Berne の bass-less trio の最新形ということで十分楽しめる作品になって いるとは思う。 ちなみに、リリースは自身のレーベル Screwgun ではなく、avant-rock 寄りの リリースが多い独立系レーベル Thirsty Ear から。ここ数年、Screwgun の リリースが止まっているのだが、そちらは大丈夫なのだろうか。ちなみに、 ジャケットは JMT や Winter & Winter、Screwgun といったレーベルを手がけて きた Steve Byram 、という点では相変わらずだ。 2001/4/8 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕