Der Rote Bereich _Love Me Tender_ (Act, 9286-2, 2001, CD) - 1)Leba, Si? 2)Lizard 3)Love Me Tender 4)50.000 Kleine Wichtigtuer 5)Simple 6)Ein Tag Im Leben Des Jungen L. 7)Short Romantic Schoolgirl Song 8)Chemischer Urlaub 9)Franken Global 10)Zambujeira Do Mar 11)Wer Kommt Mehr Vom Sozialamt? 12)Der Eine Zupft An Der Anderen 13)Huepfer 14)Berlin / Mitte 15)Fingerwagen - Recorded 2000/8. - Frank Moebus (guitar), Rudi Mahall (bass clarinet), John Schroeder (drums). Berlin, Germany を拠点に活動する free jazz / improv. な bass-less guitar trio、 Der Rote Bereich (The Red Zone という意味) の新作。Der Rote Bereich としては 4枚目のアルバムということだが、聴くのは初めてだ。Act レーベルからはこれが 初めてのリリースとなる。 リーダー格の guitar 奏者 Frank Moebus は、Jim Black (drums) や Ray Anderson (trombone) とも共演しており、1990年代に隆盛した bass-less guitar/cello trio を構成するミュージシャンたちとも関係深いミュージシャン。ということもあって、 基本的な音構成は、典型的な bass-less trio のそれである。かなりよく構成された 展開である。Moebus の guitar 演奏はディストーションをかけることはあっても、 派手なディレイは用いない。大人しいときの Bill Frisell に近い印象がある。 Rudi Mahall は Aki Takase (piano) と組んでの活動で知られ、一度、来日もして いる bass clarinet 奏者。来日ライヴではフリーキー音を多用していた印象がある のだが、ここではあまりフリーキー音を使わず、ぶいぶい音を繰り出してくる。 特に Moebus の guitar が浮遊するようなリードを取っている裏で、ベースラインを ぶりぶり言わせていたりするのが、気持ちよい。 John Schroeder は初耳だが、メリハリのある演奏で、変化のある展開を充分に 支えているように思う。 管が bass clarinet の bass-less trio といえば、Koch-Schuetz-Studer がいる わけだが、sampling や live electrics を使いまくる彼らとはかなり対照的。 むしろ、間合いを巧く使った展開になっている。そういう点でスローな曲に味が 出ているように思う。Elvis Presley のバラードの名曲 "Love Me Tender" の微妙な 崩し加減とかも良いし。もちろん、早い展開の曲も悪くないが。 確かに目新しいコンセプトや音構成が聴かれるわけではないが、充分に楽しめる佳作。 2001/5/8 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕