Joey Baron は、John Zorn、Tim Berne、Bill Frisell といったミュージシャンが 率いるバンドで活躍してきた NY の free jazz / improv. 界隈の drums 奏者。 そんな彼が率いているバンドの一つが、コード楽器 (piano, guitar, bass の類) 無し2管のトリオ Barondown だ。変則的な編成だが、ユーモラスで楽しめる作品を 残しているので、紹介したい。 Joey Baron _Tongue In Groove_ (JMT, 849 158-2, 1992, CD) - 1)Blinky 2)Yow 3)Terra Bina Kiajeena 4)Guzzle 5)Spoo 6)But, Cake 7)Archives 8)The Shadow Of Your Smile 9)Room Service 10)I Want A Little Girl 11)Sandbox 12)Responce 13)Trunk 14)Go 15)Scottie Pippen 16)Mr. Pretension - Recorded 1991/5/1. - Joey Baron (drums), Ellery Eskelin (tenor saxophone), Steve Swell (trombone). その 1st アルバムは、Winter & Winter の前身ともいえる Germany のレーベル JMT からリリースされていた。 bass や piano / guitar が抜けてコード進行の類を司るパートが無いわけだが、 そんなことはお構いなしに、2管はちょっと濁った音使いで、ファンキーで 時折、ブルースっぽい旋律をリズミカルに吹きまくる、という展開だ。 オプビートで非調性的な展開や、フリーキー音も無いわけじゃないが、アクセント という感じの方が強い。ユニゾンになったり、2管でハモったり。Eskelin は、 彼がリーダーの bass-less trio の演奏で聴かれるようなファンキーな演奏な わけだが。Swell は、CIMPレーベルからの彼のリーダー作よりも、このバンドでの 演奏の方が良い演奏のように思う。 Baron の drums はそんな2管を手数は多く煽るわけでもなく、かといってリズム キープに徹するわけでもなく、間合いを使ってちょっとトダバタギクシャクした 感じに展開していく。 その結果の音は、かなりユーモラスに聴こえる。小回りが効いて加減速のよい ミニマルなウィンドバンドという感じだ。ときおり、チンドンっぽく聴こえたり。 管の音が太めで濁った音をよく使うせいか、ミニマルでも線の細い感じが しないのも良い。"The Shadow Of Your Smile" のようなカヴァー曲の方が、 その崩し具合が面白いように思うが。 Joey Baron _Raised Pleasure Dot_ (New World / CounterCurrent, 90449-2, 1994, CD) - 1)Peckerwood 2)Boss Hog 3)Hello! Hello! Hello! 4)I've Been Holding It All My Life 5)Stand Up 6)Absolutely 7)Unleashing The Dobermans 8)Low Maintenance 9)Aquarela Do Brasil 10)Pulse 11)Hey Hockaloogie 12)The Elephant And The Poacher 13)Hutch 14)Car 15)Theme From The Movie Of The Same Name 16)Unleaded 17)The Girl From Ipanema Blues - Recorded 1993/2/22,23. - Joey Baron (drums), Ellery Eskelin (tenor saxophone), Steve Swell (trombone). 続く 2nd アルバムは、New World / CounterCurrent から。ジャケットデザインが JMT 同様 Steve Byram であり、編成も同じで、ほとんど 1st と変わらない印象の 作品だ。エンディングの、"The Girl From Ipanema" のカヴァーの爽やかな オリジナルの雰囲気をぶっ飛ばす、ファンキーな仕上がりが可笑しい。 この後、同編成で3枚目のアルバム Joey Baron + Barondown, _Crackshot_ (Avant, AVANT059, 1995, CD) を残している。1990年代後半は、Steve Swell を Josh Roseman (trombone) に置き換えて活動していたが、残念ながら録音は残して いない。 2001/5/13 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕