Talking Pictures and Jorrit Dijkstra _Hamming_ (Songlines, SGL1533-2, 2000, CD) - 1)Curve Belt 2)Humming 3)Scarab 4)Plant 5)XJ 6)Later 7)Barcode 8)Deaf Cat Lane 9)Call Me In A Minute - Composition by Jorrit Dijkstra except "Scarab" by the group. Produced by Jorrit Dijkstra, Ron Samworth and Tony Reif. Recorded 2000/7/4,5,10. Mixed by 200/7/10,11. - Jorrit Dijkstra (alto saxophone,electronics), Ron Samworth (guitar,electronics), Peggy Lee (cello), Bill Clark (trumpet), Dylan van der Schyff (drums,electronics). Jorrit Dijstra は1980年代半ばに活動を始めた Holland の jazz / improv. 界隈の sax 奏者で、Willem Breuker や ICP 界隈はもちろん、Hask Collective (Steve Arguelles や Benoit Delbecq ら) とも縁が深く、BVHasst に trio の リーダー作を2枚残している。最近、live electronics を用いるようになった ようだ。 一方、Talking Pictures は1990年代に入って Vancouver, Canada を拠点として 活動する improv. の 4tet。Peggy Lee や Dylan van der Schyff は Spool レーベルからのリリースが目立ち、この 4tet は The NOW Orchestra (_Wowow_ (Spool, LINE7, 1998, CD) というリリースがある。) のサブユニットとも言える。 この作品は未聴だが、以前に聴いていた Peggy Lee / Dylan van der Schtff, _These Are Our Shoes_ (Spool, LINE2, 1998, CD) は、非調性的でオフビートな 傾向が強い作品だった。 そんなわけで、_Hamming_ が jazz 的なニュアンスが強いのは意外だったが、 それが楽しめた作品だった。bass-less でコード楽器に cello と guitar を 据えて、live electronics を用い、よく緩急よく構成された楽曲を演奏する、 というのは、1990年代的な bass-less trio (例えば、Ray Anderson - Christy Doran - Han Bennink や Dave Douglas' Tiny Bell Trio 。) と 共通するし、編成的にはそれを二重にした感じ。二重というほど音は厚く なっておらず、若干、コード楽器が大人しめで、二管が高めの音でソロを 取りがち。リズムが軽めで cello の弓弾きもあるので、室内楽 jazz っぽく 感じるとき。live electronics の使い方もあまり派手に音色を変えたり しないので、2管 jazz quintet 的な印象を受ける部分も多い。コード楽器が piano ではないので、それほど保守的には感じないが。もちろん、"Scarab" の ような即興+電子音響的な傾向の強い展開もあるし、それも悪くないのだが。 最も好きなのは、jazz 的 な緊張感や緩さを持った展開から電子音響へ突入する "Plant" や "XJ" といったあたりだろうか。この2者が混じり合っているという 感じではなく、継ぎ接ぎ感があるのは、ちょっと惜しいところかもしれない。 新しいコンセプトを感じるわけでもないが、小粒かもしれないが、それなりに 楽しめる佳作だろうか。 2001/6/3 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕