Various Artists _Ru.electronic_ (Lo Recordings, LCD22, 2001, CD) - 1)Strochnik (Klutch) 2)KMSH (EU) 3)Plastic Bell (Lonyx) 4)Fakswerk (Vesna) 5)Wantelur Saw (Klutch) 6)Izoterica (Fizzarum) 7)Jazz Bubble (PCP) 8)Downset (EU) 9)Qwasha (Tenzor) 10)Use Rabotaet (PCP) 11)One Free Drink (Solar X) 12)Mirok (Cabina / Clutch) 13)Tard 32 (Kirill Sobolev) 14)Sweet Snow (Lonyx) 15)Out (Tenzor) 16)Miro (Solar X) - Selected by EU. 1990年代半ばに、_Extreme Possibilities_ シリーズの編集盤など、London 界隈の electronica, post-rock, improv 界隈の興味深い試みを企画してきた John Tye (2 Player, Echopark, etc) のレーベル Lo Recordings から、ここ2年くらいの間 に出てきた Russia の electronica / IDM の編集盤がリリースされた。選曲は、 St. Petersburg の EU (Elochnye Igrushki, Sasha Zaicev & Ilya Baramia)。 音は、_Artificial Intelligence_ (1990年代前半の Warp レーベルの名編集盤。) の影響を強く感じる、ビート感をあまり強調しない複雑な打ち込みパターンと、 ambient 的に浮遊するような音からなる音が中心。IDM (intelligent dance music) と呼ばれるような音だ。1990年代前半の Aphex Twin や Autechre が好きな人なら、 気に入る音だとは思うが。もう一歩踏み出すような個性が欲しいような気もする。 ただ、Solar X, _Little Pretty Automatic_ (Worm Interface, WI017, 1999, CD) や Fizzarum, _Monochrome Plural_ (Domino, WIG087, 1999, CD) のような UK での リリースもあり、UK の electronica / IDM と同時代的な音とも言える。今後の 展開を期待したくなるくらいのレベルにはあるように思う。 ちなみに、選曲の EU をはじめ、PCP (Parforated Cerebral Party, Vladimir Ivanov, Vladimir Denisov & Alex Severin)、Fizzarum (Dmitry Dubov) Klutch (Denis Popyrin)、Tenzor (Gennady Peshkov) らは St. Petersburg を 拠点に活動している。一方、Solar X (Roman Belavkin) は Moscow を拠点に 活動している。St. Petersburg の方が層が厚いのだろうか。 この編集盤は、Klutch のレーベル Cheburec のものと、Solar X のレーベル Art-Tek からの音源が多く用いられている。いずれもカセット中心のリリースだが、 Art-Tek は Solar X, _X-Rated_ (Art-Tek, ART003CD, 1997, CD) や EU, _EU_Soft_ (Art-Tek, ART011CD, 2000, CD) のようなCDもリリースしはじめている。 St. Petersburg では、1990年代後半には PCP のレーベル Perforated が PCP や EU、 Tenzor の作品をリリースしていたよう (最近は活動していない様子だが)。 Various Artists _ElektRus_ (What's So Funny About, CDSF163, 1999, CD) - 1)W.A.S.H. (Alexandroid) 2)Tube (Novi Kompositori) 3)Mizar (The Parks) 4)Fish Mambo (Kostrov) 5)The Snakecatcher (Deadushki) 6)Who Has Stolen The Jam (DJ K-Fear) 7)Jazzbox (Mo Fun) 8)Electric B-3 (Fathers Of Hydrogene) 9)Hypnotized Snowman (Messer Fuer Frau Mueller) 10)The Worm (Netslov) 11)Party At Abrahams (PCP) 12)Qwosmic (Christmas Bubbles) (EU) 13)Summer File (Good Dead Davidoff) 14)The Stars Watch Down (Usachev & Arsentiev) 2年ほど前に、St. Petersburg を拠点に活動する techno / breakbeats 系の アーティストを紹介する編集盤が、Humburg, Germany の post-punk / new wave の レーベル What So Funny About からリリースされていた。 _Ru.electronic_ の EU、PCP も収録されているが、まだ IDM 的ではなく、 もっとちょっと緩め生音 jazz 的な音を drum'n'bass 的な打ち込みの上に 載せたような展開だ。同じく Perforated レーベル音源の Mo Fun, "Jazzbox" の electro 的にバンバンいうビートも使った曲も良い。他の音源も、1980s synth pop 的に聞える音も無いわけじゃないけど、けっこう楽しめる。 electronica というより breakbeats 物が多いようにも思う。 ジャケットやブックレットのデザインは、1920s Russian Avant-Garde の グラフィックをパクった (引用した) もの。物ネタを知っているので笑えるが。 一過的な企画物という印象を受けてしまうかもしれない。あと、クレジットの アーティスト名まで英訳してある (Elochnye Igrushki が Chrismas Bubblers) ので、これを手がかりにミュージシャンを追いかけるのに少々難があるのが惜しい。 EU や PCP 以外のアーティストのそれ以降の展開も気になるのだが。 Various Artists _Artefacts_ (Art-Tek, ART010CD, 1999, CD) - 1)100% Thanks To Radium (Lazyfish) 2)Chi (EU) 3)Captain Of The Loo (DJ Compass Vrubell) 4)Distorb (Fizzarum) 5)Black Noise (J-Toonz) 6)Easy2 (Kustota) 7)Sine Dance (Ambidextrous) 8)127.0.0.1 (t.a.n.d.e.m.) 9)Blin (Panya) 10)Morning Star (SCSI-9) 11)Xiloforx (Cutoff) 12)L'Mira (Novel23) 13)Eating Dumplings (Solar X) _ElektRus_ と同じ1999年に、Solar X のレーベル Art-Tek からも Russia の electronica の編集盤がリリースされていた。Russia 盤ということもあって 入手できていないのだが、Art-Tek のサイト (http://art-tek.mu.ru/) で試聴 した限りでは、EU を含めて _Ru.electronic_ 同様の IDM 風の音作りだ。 前述の Solar X や EU、Fizzarum はもちろん、冒頭を飾る Lazyfish も、その後 アルバム _Vortex / Please-126_ (Art-Tek, ART007CD, 2000, CD) をリリース している。SCSI-9 (Anton Kubikov) は、Force Tracks (Frankfurt, Germany の Force Inc. 傘下のレーベル) から micro house な音をリリースしはじめている。 こういった、参加アーティストの今後の展開も気になる編集盤だ。 ちなみに、Art-Tek やその界隈の動きの拠点となっているウェブサイトとして Mu Project (http://www.mu.ru/) がある。 Ensemble 4:33 & Nete & DJ Kubikov _Falls_ (Long Arms, CDLA9706, 1997, CD) - 1)Falling Of The Lambs 1-1)Falling Of The Lambs 1-2)To Fall Silent 2)And Ship Goes... 2-1)Ship 2-2)Pilot-Fish-Daemon-Hill 3)To Fall Asleep 4)My Spirits Fall 5)The Expense Fall On Me 6)Falls 6-1)Hair Fall 6-2)Pride Will Have A Fall 6-3)Falls - Producer: Nick Dmitriev. Artistic Producers: Alexey Aigi & Yulia Bederova. Recorded 1997/2/1 and 1997/2/15. - Ensemble 4:33: Alexey Aigi (violin,conductor), Andrei Raev (clarinet,bass clarinet), Pavel Karmanov (keyboards), Maxim Ivanenko (guitar), Sergey Nikolsky (bass guitar); Nete: Lena Sergeeva (voice), Sergey Zhirkov (voice,gusli,balalaika,vladimir's horn,kugikly,kalyuka,ocarina); Anton Kubikov (turntables,loops,samples). SCSI-9 名義で活動する Moscow の Anton Kubikov が参加した、異種格闘的な 企画盤があるので、少々古い録音だけれども軽く紹介。 Alexey Aigi 率いる Ensemble 4:33 は、アカデミックな背景を持つようだが、 若手のようで、現代音楽的というか折衷的なアプローチをしているアンサンブル。 Nete は Russian folk な背景を持つ男女2人組だ。ちなみに、リリースしている Long Arms は、jazz / improv のジャーナリスト Nikolai Dmitriev が Russian improv の代表的なアーティスト Sergey Kuryokhin らと1996年に設立したレーベルだ。 作曲指揮は Aigi によるものだが、実際の演奏では Ensemble 4:33 の音はそれほど 表に出てきておらず、むしろ、Nete の folk 風に地声の歌声 (特に Sergeeva は Le Mysterie Des Voix Dulgares を連想させるような所もある。) に、IDM 風 だったり minimal 風だったりする Kubikov の打ち込みが絡むとろこが耳を惹く。 ethno な風味を加えた ambient techno はそれなりにあるけれども、ここでの アプローチは ambient 的ではなくて、打ち込みがメインではないし、もっと 引っ掛かりのある感じ。有機的に混交しているというより、とりあえず違う文脈の 音をぶつけてみた、という印象は否めないけれども。それなりに楽しめる。 むしろ、これっきりて、これ以降、この共演を受けた新しい展開が特に無さそう、 というのが少々惜しまれるように、僕は思う。 2001/8/21 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕