Various Artists _Nuggets: Luke Vibert's Selection_ (Lo Recordings, LCD23, 2001, CD) - Compiled by Luke Vibert. - Richard Demaria, Epstein/Kraman, Eddie Warner, Midas Touch, Roger Roger, Boseschi Electronic Combo, Nino Nardini, Georges Teperino, Peter Bonello, Anthony King, Heinz Funk Electronic Combo, Cecil Leuter, Johanna Group, Fred Weinberg, David Holland, A. King / J. Mathews, Jack Arel / Pierre Dutour. 1970年代に France で制作された library music (TVや映画、ラジオのために、 主に背景音楽として製作された音楽。) を集めた編集盤。ちなみに、選曲は Cornwall のDJ、Luke Vibert (a.k.a. Wagon Christ, Plug)。library music と いうのは、1990年代に再評価が進んだ Stereolab がモチーフに使っているような Muzak 的というか lounge 的な音楽の一ジャンルだが。今まで、ほとんど公に リリースされたことが無い音源を集めたものになっている。 Vibert によるライナーノーツ以上のことは知らないので、詳しくはそれを参照 して欲しいのだが。1970年代は France が library music の中心地になっており、 ここに収録されている曲のほとんどが、Roger Roger, Nino Nardini, Eddie Warner の3人によって Paris の近くの Genaro で録音されたもので、Chappell、 PiL (Peer International Library), Southern, iM (L'Illustration Musicale) といったライブラリから集められている。 収録されている曲の、旋律やベースラインは1970年代の jazz rock のイメージを 大きく外れるものではないのだが、音は薄めで、アナログの電子楽器の類を多用 していて、electro 的なピコピコ感の高い音作りになっている。dub を連想させる ような構成する音のバランスの崩し方や残響や効果音の使い方も、Vibert の指摘 するような France の avant-garde への親さのせいというより、独立して聴かれる 音楽でななかったからこその大胆さなのかもしれない、と思うところも。1970年代 当時に聴けばもっとモダンな印象になるかもしれないが、ちょっとシュールな 感じが楽しめる編集盤だ。リマスタリングが良いのか、リズムというか低音が 太くてメリハリのあるリズムで、かなり楽しめるCDだ。 しかし、タイトルの "Nuggets" というのは、1960年代の garage psychedelic rock の名編集盤を思い出させるのだが、意識したのだろうか。それとも偶然だろうか。 2001/08/26 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕