Taraf De Haidouks + Kocani Orkestar Shibuya AX, 渋谷 2001/9/2, 16:00-19:00 - Taraf De Haidouks, Kocani Orkestar, Tarik Tuysyziglu, 梅津 和時 + こまっちゃクレズマ, 東京中低域. ストリングスを中心に編成された Rumania の gypsy バンド Taraf De Haidouks と、 Macedonia の gypsy ブラスバンド Kocani Orkestar のジョイントライヴ。 ゲストとして Turky の darbuka 奏者 Tarik Tuysyziglu もライヴに参加しており、 先行してリリースされた Bucarest, Rumania でのライヴ盤 Taraf De Haidouks, _Band Of Gypsies_ (CramWorld, CRAW24, 2001, CD) と同じようなラインナップ。 ライブは、Kocani Orkestar の第一部、Taraf De Haidouks の第二部、ジョイントに よる第三部、という構成だった。予想以上に客の入りが良く、踊るスペースが 自分の周囲に十分に確保できなかった。gypsy brass band に合わせて踊りまくる Emir Kusturica の映画 (_Underground_ (1995) や _Black Cat, White Cat_ (1998)) の登場人物よろしく踊りまくりたい、と思っていたところもあったので、少々残念。 あと、幕間にピーター・バラカンが簡単な解説をしたり。 CDで聴く Kocani Orkestar は変拍子が強烈なのだが、ライヴではあまり変拍子を 強調せずに、手拍子で合わせられるような演奏が中心。ドライヴ感のある演奏は、 ライヴでも迫力満点。かなりダンサブルな演奏だと思ったのだが、その割には客が ノッていなかった気がする。やはり、Taraf De Haidouks 目当ての客が多かった のだろうか。CDでは歌手をフィーチャーしないし、しても印象が弱いのだが。 このライヴでフィーチャーしていた歌手 (Ajlur Azizov) はなかなか良かった。 軽く伸びよくコブシを効かした歌い方はアラブ歌謡風に感じられた。Kocani Orkestar は、かつて Khaled (Algeria / France の rai の歌手) と共演したことがあるそう なのだが、そのときもこんな感じだったのだろうか、と思ったり。 続く、Taraf De Haidouks は、総勢12名とのことだが、リズム隊の2名 Viorel Vlad (contrabass) と Christinel Turturica (grand cymbalom) 以外は、曲の度に組替え。 フロントに出てくるソロを取る人たちは、猛烈な速弾きをしたりするけど、技巧的と いうより、芸達者。「爺さん」な奏者など愛嬌もあって、それも楽しかったりしたが。 CDで聴いて音だけ聴いていたときは、それほど面白く感じなかったのだが、ライヴを 観て、ソロの芸人のキメ方など、思わず引き込まれるような楽しさがあった。実際、 ソロで客も多いに受けていた。もちろん、リズム隊の2人の演奏も、全体を締めていた。 ある意味で最も「ミュージシャン」然としていた。 最後のジョイントは、一曲目は、Taraf De Haidouks の演奏と Kocani Orkestar の 演奏を交互に繋げた、という感じだったが。二曲目は、まさに共演といえるような 構成の曲で、おおいに盛り上がったように思う。しかし、日本人ベリーダンサーや 前座というか開演前にホワイエで演奏していた、梅津 和時 + こまっちゃクレズマ や 東京中低域 がステージ上になだれ込んだあたりから、確かにステージ上はお祭り騒ぎに なったけれども、フロアは逆にヒイてしまったように思う。音的にも、厚くなったと いうより混沌としてしまった、という感じだし、盛り上がりも客を巻き込むというより 客を置いていってしまったような感じもあった。そのまま時間切れという感じで終わって しまったのだが。ま、そこまでの演奏が全力疾走という感じもあったし、最後の騒ぎは オマケ、という感じだろうか。 2001/09/02 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕