Richie Hawtin _DE9: Closer To The Edit_ (NovaMute, NOMU90CD, 2001, CD) - Reduced, Reinterpreted and Reconstructed by Richie Hawtin. 1980年代末から活動する Canada の techno DJ、Richie Hawtin (a.k.a. Plasticman) による DJ mix 盤は、ハードディスクレコーディング時代ならではの編集が なされたもの。クレジットされた曲は74曲、それが53分24秒にまとめられている。 単に繋いだだけでも1曲1分未満なのだが。曲を短い要素に分解した上で、 それを編集している。単にサンプリングしたというには長いけれども、DJ mix したというには短い、といったところか。 聴く前に制作方法については知っていたので、1980年代頭に、派手なDJプレイで 知れれる hip hop の名曲 Grandmaster Flash & The Furious Five, _Adventure Of Grandmaster Flash On The Wheels Of Steel_ (Sugar Hill, SH-557, 1981, 12") を聴いたときのような、印象的な音を期待 していたのだけれども。その制作方法の凄さに比べて、実際の音はもっと普通。 制作方法を知らなければ、ごく普通の techno のCDと大差はないように思う。 そう感じるのは、全体として、minimal techno 〜 micro house な音を基調 としており、意外な曲調や音のテクスチャーのものを繋ぎ合わせていないから のようにも思う。オープニングは Basic Channel だし、Perlon、Playhouse、 Klang、Ongaku といった、最近の micro house の中心的なレーベルの音源も 多用されている。もちろん、自身の Plus 8 〜 Minus レーベルの音源も多い。 Matthew Herbert / Various Artists, _Let's All Make Mistakes (Globus Mix Vol.5)_ (Tresor, 157, 2000, CD) や Various Artists / Andrew Weatherall, _Hypercity_ (Force Tracks, FT30, 2001, CD) といった micro house の DJ mix 盤と同じような、 脈動感、ドライヴ感も気持ち良い仕上がりで、それが僕は気に入っている。 ハードディスクレコーディングの可能性を追求する超絶編集とか言っても、 結局、編集プログラムのデモのような仕上がりになってしまいそうな気もするし、 ドライブ感を生かした DJ mix のような仕上がりで良いように思う。 2001/09/16 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕