Evan Parker 大谷石採石場跡, 大谷資料館 (宇都宮), http://www.oya909.co.jp/ 2001/09/22, 19:00-20:00 - Evan Parker (soprano saxophone). 最近は、Electro-Acoustic Ensemble などの編成で live electronics を多用した 演奏も聴かせている UK の jazz / improv の saxphone 奏者 Evan Parker が、 宇都宮の郊外にある大谷石の採石場跡の大きな地下空間でライヴを行った。 共演者による live electronics によるディレイやループの代わりに、地下空間の ナチュラルエコーを用いた、という感もあり、ソロとはいえ音響体としての 地下空間をも楽器として使っていた、と感じた時もあるようなライヴだった。 といっても、Parker のライヴも何回か観たことあるし、大谷石採石場跡は以前に 行ったこともあり、ある程度は予想がついていたところもあった。最初の演奏は、 高音を中心として、ノンブレスとマルチフォニックで通すような演奏で、やっぱり こんな程度のものか、と思ったのも確かだ。残響だけでは、live electronics で ディレイやループを使ってのようには音が重ねられていかないので、もくもくと 湧き上がるような感じまでにはいかないし。 しかし、2曲目からは、ロングトーンを使ったり、音を切ったりするようになって、 エコーが生きるようになったように思う。それに、なにより、高音よりも低音の方が きれいにエコーが地下空間に響き渡っていたように思う。特に低音を多用した2曲目が 最も楽しめた。 結局、4曲1時間程度の演奏だったのだが、楽器は soprano saxophone のみ。 低音のエコーがきれいだったので、tenor の演奏も聴いてみたかったように 思ったが。持ってきていなかったよう。 ライヴはちょうど行き止まりになったような空間を使って、石の壁を背に行った。 石切の跡がまるで石を積み上げたように残っていて、(この夏に Avignon, France で 見たような) ヨーロッパ中世の城か教会の石造りのホールの中を連想させられた。 ライヴ当日は天気の急激な冷え込みもあって外気との温度差も小さめだったのか、 もしくは外気が乾燥気味だったのか、坑道内は湿度が高めとはいえ、霧が立ち込める ようなことは無かった。霧が立ち込めていた方が、照明の効果も加わって、 視覚的にももっと面白くなったように思うのだが、機材のことを考えると、 霧がからない程度の方が良いのかもしれない。 2001/09/22 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕