Rachid Taha 渋谷 Club Quattro (渋谷), http://www.net-flyer.com/ 2001/10/03, 19:00-21:30. 1980年代に Carte De Sejour を結成、それ以来、フランスのアラブ系の移民に 関する状況を歌い続けてきた Franco-Algerian の rock / pop 歌手 Rachid Taha が 遂に来日した。政治的な発言も多く、オピニオンリーダー的な雰囲気もあり、 シリアスなステージなのだろうか、と予想していたのだけれど、リラックスした、 rock 的なサービス精神もあるステージだった。 編成は、Taha を中心に、左に electric guitar (flying V)、右に semi-acoustic な oud (琵琶のような弦楽器)、後ろは、左から、synthesizer / computer、drums、 そして、darbuka (hand drum)、という6人編成。Taha の歌い方もそうだし、2人の 弦楽器の弾き方も、派手なリードのソロを取ることは無いものの、rock 流儀とでも いうもの。synthesizer / computer のステージ上の扱いは、キーボード的で、 DJ 的もしくは DTM 的なものではなく、techno なステージとは異なっていた。 folk 的な要素の強い所謂「ワールド・ミュージック」とはかなり距離のある ステージだと思った。 ツアーの名称といい、最新作 _Made In Medina_ (Barclay, 543 995-2, 2000, CD) からの曲を中心に構成するかと思いきや、_Diwan_ (Barclay, 539953-2, 1998, CD) からの伝統曲も多かったし、_Ole Ole_ (Barclay, 529 281-2, 1995, CD) からの曲も、 また、アンコールでは彼のテーマソングと化している "Voila Voila" (_Rachid Taha_ (Barclay, 517 968-2, 1993, CD) 所収) も演った。さすがに、Carte De Sejour の 曲は歌わなかったが。 MC は全てフランス語。英語も喋ることができないようで、観客席とのやりとりは ちょっと壁もあったように思うけど。満員というほどではないものの、客もそこそこ 入っていて、ステージ上もそれなりにノッていたように思う。サービス、といえば、 シャンソン (残念ながら僕には曲はわからなかった。) を一曲、静かめなバックで 歌ったり。僕からするとちょっとオリエンタリズム的で引くところもあったのだけど、 前座で踊ったベリー・ダンサーをステージに上げたりもして、あまり拘らずに 楽しんでしまおう、という感じだった。 テンションの高いシリアスなステージを期待していたところもあって、肩透かしを 受けた感もあったけれど。rock / pop 的なパフォーマンスから遠ざかっていた感も あったので、たまには良いなぁ、と思えるくらいに楽しめたライヴだった。 2000/10/05 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕