今年は日本におけるイタリア2001年、ということで、横濱ジャズプロムナードでも イタリア特集が組まれていた。ということで、その特集を観てきた。 特に jazz big band は、こんな機会ならではの企画だろう。 Italian Instabile Orchestra 関内大ホール, 馬車道, 関内, 横浜 2001/10/6, 12:30-14:30. - Pino Minafra (tp,flh,megaphone,voice), Alberto Mandarini (tp), Luca Carabrese (tp), Marin Mayes (frh), Giancarlo Schiaffini (tmb,tuba), Lauro Rossi (tmb), Sebi Tramontana (tmb), Carlo Actis Dato (bs,bcl), Daniele Cavallanti (bs), Achille Succi (cl,as), Eugenio Colombo (ss,as,fl), Mario Schiano (ss,as,voice), Giovanni Maier (b), Renato Geremia (ss,as,vln), Umberto Petrin (p), Tiziano Tononi (ds), Vincenzo Mazzone (ds,perc). Italia の post-free な jazz orchestra。一応 Pino Minafra がリーダーだけれど、 作曲、指揮は様々なメンバーが取っていて、いろんな色が交じり合っている。 途中、休憩を一回入れ、アンコールも一回。前半はオフビートな展開も目立ったが、 後半はオンビートでノリ良い感じでまとめた、という感じだった。free jazz 的な フリーキーな音から、Latin 〜 African 的なノリや、Europe 的な節回しとかも、 いい感じの取り合わせになっていた。 それぞれのメンバーの演奏も良く聞え、とくにブラスの音が綺麗に鳴っていたのが 印象的。jazz big band というと、今まで Berlin Jazz Composers Orchestra @ 中野 ZERO や、Ornette Coleman's _Skies Of America_ @ オーチャードホール など、音の悪さに泣かされる、という印象が強かったのだけど、今回はそんな こともなく楽しむことができた。 前半の最後、Carlo Actis Dato の "AEIO" は、さすが、客の楽ませ方を知って いるという感じで、ノリノリからドシャメシャまでいろいろ。後半も Actis Dato の曲 "Immigrant" をやったが、こちらは曲想は Africa 風のものから European folk 風ものまで継接ぎだったが、"AEIO" に比べて展開は単調な印象を受けた。 他に前半で良かったのは、Giancarlo Schiaffini の曲。ちょっと派手目に展開が 変わるのが面白かった。後半は全般にノリ良い曲が楽しめたのだけど、一番 良かったのは Willem Breuker の "The Happy Italians"。ブラスバンド的というか、 jazz 的というより、European folk 的な旋律も楽しめたし。 Pino Minafra の曲は Sud Ensemble の方に取っておいてやらないのか、と思いきや、 アンコールでやってくれました。アンコールの拍手をそのまま手拍子として使って、 頭からこんなに盛り上がっていいのか、というくらい、会場全体が盛り上がった。 続いて、会場を開港記念会館に移して。 Enrico Rava Electric Band 開港記念会館, 関内, 横浜. 2001/10/6, 17:00-18:30. - Enrico Rava (tp), Roberto Cecchetto (g), Domenico Caliri (g), U. T. Gandhi (ds), Giovanni Maier (b). ツインギター編成といえば、Paul Motian Electric Bebop Band などでもお馴染み なわけだけど。Rava のラッパの音は鋭くてきれいだけど、表に立ちすぎ、というか、 electric guitar 2人のキャラクターが弱くて、ちょっと単調に感じてしまったかも。 特に、前半は、正直に言って、うとうとしてしまうときもあった。「グーロバリズム に抗して」みたいなMCの後、ぐっと演奏が鋭くなって、目も冴えたけど。 Giorgio Gaslini 開港記念会館, 関内, 横浜. 2001/10/6, 19:00-20:00. - Giorgio Gaslini (p). 常にコードを押さえている、というか、アルペジオやトレモロで常に piano を 響かせているようなソロ演奏。Sun Ra のメドレーや、Albert Ayler の曲すらも、 優雅に聴こえるくらいだった。といっても、classical 風というのとも違うのだが。 Pino Minafra Sud Ensemble 開港記念会館, 関内, 横浜. 2001/10/6, 20:30-22:00. - Pino Minafra (tp,flh,perc,voice,etc), Lauro Rossi (tmb), Livio Minafra (p,key), Daniele Patumi (b,perc), Vincenzo Mazzone (ds,perc), Sandro Sata (as), Carlo Actis Dato (bs). 最後は、Pino Minafra の出身地南イタリアをテーマにしたアンサンブル。 とにかく音が強烈。フロント4管は強い音で吹きまくるし、リズム隊もガンガン 鳴らしまくり。Cecil Taylor Unit 並のけたたましさになるときもあるのだが、 静かにソロを取るときもあって、ちゃんとメリハリは付けていた。オンビートの 曲が主体で、ちょっと Latin 風のリズムに folk 的な節回しというものが 多かったように思う。時差ぼけで辛い、と言いながら、自分が吹いていないときも マラカスを手に踊りまくっている Minafra が印象的。会場の方の時間切れで、 アンコール無しだったのが、大変悔やまれる。しかし、時間制限が無かったら、 延々と演っていそうな気もするが…。 Minafra, Rossi, Mazzone にしても Italian Instabile Orchestra でも演奏 しているわけだが。Actis Dato は、Italian Instabile Orchestra と Pino Minafra Sud Ensemble の間に、他のハコで、Carlo Actis Dato Quartet での演奏もしているはず。よく体力が続くものだと思ってしまった。 特に斬新な音とかそういうわけじゃなかったが、Pino Minafra と Carlo Actis Dato というノリのいい2人を核に、十分に楽しめた、今年の横濱ジャズプロムナードの イタリア特集だった。 2001/10/07 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕