Ernst Reijseger + 豊住 芳三郎 喫茶アポロ, 駒沢, 03-3421-4831. 2001/10/08, 16:00-18:00. - Ernst Reijseger (cello,voice), 豊住 芳三郎 (ds,melodica,etc). ICP (Instant Composers Pool) Orchestra の一員として、1970s から Holland を 拠点に、free jazz / improv. 界隈で活躍する Ernst Reijseger が初来日した。 Winter & Winter でのソロはもちろん、ICP Orchestra のサブセット Clusone 3 での活動も楽しい cello 奏者で、以前から生演奏を観てみたいと思っていたのだが。 横濱ジャズ・プロムナードでのステージはイタリア特集と重なり観ることが 出来なかった。しかし、自宅の近所の喫茶店で duo のライヴがあったので、 覗いてきた。会場は、こぢんまりしたちょっと古びた感じの喫茶店で、久しぶりに、 ミュージシャンに手が届くような位置でのライヴを堪能することができた。 前半は、ちょっと大人しめの即興演奏。Reijseger も弓引きやピッキングによる きれいな音出しが中心で、フリーキーな演奏はあまり見せなかったし、豊住 の 演奏も比較的抑え気味。そういう聴かせる演奏も良かったけれども。 唸り声の歌付きの弓弾き曲 "Gwidza" (_Colla Parte_ (Winter & Winter, 1997)) の Reijseger のソロで、後半は幕開け。その後は、作曲作品をベースに逸脱演奏、 という感じのもの。豊住 も、drums だけでなく、melodica や 胡弓 も交えて応じた。 胴体をパーカッションのように叩いたり、擦って響かせたりと、フリーキーな演奏 のみで 豊住 の drums や melodica と応酬をひとしきりした後、そのひと騒ぎの 中から、"Colla Parte" (_Colla Parte_ (Winter & Winter, 1997)) が沸き上がって くるとでもいった感じ。で、cello を弓弾きしたまま抱え上げて、店内を歩き回って 客の目の前で演奏するは、そのまま cello を抱えて弓弾きしながら、雨降る店の外に 出て行ってしまうは、窓から cello だけ中に見えるように突き出して弾いて見せたり。 窓に顔を付けて息で曇らせてみたり、という逸脱ぶり。拍手で店内に迎え入れられて、 次ぎの曲は、Clusone 3 で御馴染みの Irvine Berlin の "White Christmas"。 豊住 のちょっとハズれた感じの 胡弓 によるメロディもあって、Clusone 3 以上に 壊れたユーモラスな仕上り。しかし、演奏を終わろうとする Reijseger に対して、 豊住が引張り続け、ついに、演奏を打ちきるべく Reijseger が店外に出て行って しまった。再び Reijseger が店内に戻ってきて、今度は、Reijseger の body percussion のソロから、cello を掻き鳴らしてのオンビートなノリの良い曲を 一曲やって、後半のセットはお仕舞い。アンコールは、豊住 の角笛と Reijseger の cello の静かなソロで締めてくれた。 狭い会場ならではの、近い位置の音色と、ユーモラスに逸脱したパフォーマンスが 楽しめた、そんなライヴだった。 2001/10/08 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕