Underground Sound Of Lisbon _Etnocity_ (Emarcy (Portugal), 159 617-2, 2000, CD) - 1)Lounge (LHT) 2)Sarise E Capolanas (Remix) (USL feat. Maria Joao & Mario Laginha) 3)Cimmerian (USL feat. Rao Kyao) 4)105.5939 (LHT) 5)Oye Como Va (Mix) (USL feat. Ciganos D'Ouro) 6)Taco A Taco (Mix) (USL feat. Amelia Muge) 7)Ciao Xau Macau (Mix) (USL feat. Gaiteiros De Lisboa) 8)Mujan (LHT) 9)Ironia De Um Forro (Remix) (USL feat. Bernardo Sassetti) 10)Momento Breve No.2 (LHT feat. Francisco Filipe Martins) - Produced by Underground Sound Of Lisbon: Rui Da Silva (a.k.a. Doctor J) and To Pereira (a.k.a. DJ Vibe). David Byrne / Arto Lindsay 人脈を集結させたかのような同時代的な Lusophone music (ポルトガル語圏の音楽) の企画盤 Various Artists, _Onda Sonora: Red Hot + Lisbon_ (Red Hot Org. / Bar/None, AHAON-CD-107, 1999, CD) に参加 していた Lisbon, Portugal の DJ ユニット USL (Underground Sound Of Lisbon) のメジャーデビュー作が出ている。といっても、USL についての予備知識は、 その程度。むしろ、ECM 界隈のミュージシャンと交流もあり、Enja からのリリース もある女性 jazz 歌手 Maria Joao と、piano 奏者 Mario Liginha をフィーチャー した曲があったのが、聴いてみた一番の理由だ。 題名は「エスニックな町」とでもいう意味だろうか。bamboo flute 奏者 Rao Kyao や Lisbon の bagpipe バンド Gaiteiros De Lisboa などをフィーチャーした曲もある。 Gaiteiros De Lisboa の remix では、旧 Portugal 領で中国に返還された Macau を 思わせる中国語のMCが入り、まるで bagpipe が東洋の楽器のように音が変形されて いたり。Amelia Muge は Mozambique 出身の女性歌手だが、Portugal で活動しており、 その歌声に Africa っぽいところはない。女性の歌声といえば、Maria Joao の軽快な スキャットは打ち込みにも合って良いが。いまいち存在が薄め。こういうバックで アルバムを出したりしないだろうか。Ciganos D'Ouro をフィーチャーした曲は Afrobeat 風なのだが、バンドは特に African なバンドではないようだ。 フィーチャーした上物と、リズムの部分との分業は比較的明確。LHT 名義のトラックは 基本は electronica 〜 micro house 的な音作りに近いが、装飾的なところもあり、 そのバランスも絶妙。"Mujan" など、そんなアップテンポではないのにつんのめる ような感じで、ストリングのサンプリングなども緊張感高めでとてもカッコ良い。 USL のトラックは France の house に近いように思う。上物のせいもあるかも しれないが、Femi Kuti, _Shoki Remixed_ (Berclay, 543 190-2, 1999, 2CD) や Frederic Galliano がディレクションした Mali の Cobalt 音源を remix した Frikyiwa の一連の remix とテイストが近いように思う。もちろん _Etnocity_ は Africa 色はずっと薄いし、歌物という感じでは全くないけれども。 もっと Brazil / Lusophone Africa 色をつけたらもっと面白そう、とも思うけれども。 これはこれでなかなか楽しめる出来ではないだろうか。 2001/11/8 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕