Besh O Drom _Macso Himzes_ (Fono (Hungary), FA-082-2, 2000, CD) - 1)Pusztito 2)Space Maudi 3)9S 4)Mahala 5)Katalin 6)Roman Swing 7)Lazito 8)Talyata 9)Sufi Light 10)Kecskes - Agnes Szaloki (vocal), Gergo Barsza (soprano, alto and tenor saxophone,ney flute,kaval,tingling), Adam Pattik (watercan,derbouka,tapan,viola,udu,tingling,lead), Attila Sidoo (guitar,vocal), Scaba Bese (bass guitar), Harcsa Robert Farkas (accordion,violin), Jozsef Scurkulya (dulcimer), Geza Orczy (derbouka,tapan,oud), Andras Monori (trumpet), Peter Toth (trumpet), Mango (scratch), K-Roy (drum programming). 1999年に Hungary で結成された、Balkan Gypsy brass band をベースに rock や jazz 、electronica の要素を取り込んだ音楽性を持つバンド。ちなみに、バンドの 名前は Gypsy の言葉で "sit on the road" という意味だとのこと。バンドの 中心人物の Adam Pattik は、Lajko Felix Group や Boban Markovic Orchestra (映画 Emir Kustrica (dir.), _Underground_ に出ていたバンド) のメンバーとして 活動していたこともある。(ちなみに名前の表記は「名姓」の順にしてある。) "Space Maudi" のように drum'n'bass 的な打ち込みと turntablist 的なDJプレイを フィーチャーした曲もあるが、brass band のオフビートなノリに、女性歌手も 含めてけっこう違和感無く溶け込んでいるように思う。むしろ、打ち込みの方に ちょっと古びたパターンを感じたり。Kocani Orkestar (Macedonia の brass band) を初めて聴いたときは DJ による remix をした方が面白いのではないか、とも 思ったけれども、実際の仕上がりはこんなものかなぁ、と思うところもあった。 1曲だけでなく、もっと全面的にフィーチャーして欲しかったように思うが。 アレンジが新しい、というより、本来 tuba がベースラインを取っているところを electric な bass が弾いている所が、面白いように思う。妙なファンキーさを 生んでいて。 Gypsy brass band っぽい曲が多いが、"Roman Swing" などは violin がメインで Taraf De Haidouks (from Romania) の影響が強いように感じる。ダウンテンポで 女性歌手の folk 的な詠唱が入る曲もあるのだが、"Lazito" などは、変拍子など Balkan っぽいが、Greek で歌われている。"Sufi Light" などは、かすれた感じの 管楽器の音色など、Balkan というよりもっと東、Arab 的なものだ。 Balkan 的な pop / rock といえば、Emir Kusturica & The No Smoking Orchestra _Unza Unza Time_ (Rosebud / Barclay, 543 804-2, 2000, CD) などを思いだす わけだが、そちらが punk rock がベースになっているとしたら、こちらでは ベースになっているのは folk 、といったところだろうか。 Besh O Drom は、ヨーロッパではそれなりに受けているようで、2000年には ヨーロッパじゅうをツアーしているようだ。こういう試みから、もっと雑食な 音が出てくると面白いようにも思うのだが。 2001/11/10 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕