Maya Homburger & Barry Guy ムジカーザ, 代々木上原. 2001/11/23, 19:00-21:00 - Maya Homburger (baroque violin), Barry Guy (doublebass, electronics), 石川 高 (笙). 1970年代から、Evan Parker (saxophone) と Paul Lytton (drums) の trio や、 London Jazz Composers Orchestra を中心に活動してきた、現代音楽とも近い 位置にいる UK の free jazz / improv. の bassist、Barry Guy の、古楽器 baroque violin 奏者 Maya Homberger との共演の来日公演を観てきた。ちなみに、 この2人は、Maya Homberger / Barry Guy, _Ceremony_ (ECM, ECM1643, 1999, CD) もリリースしている。 途中一回の休憩の後、Guy の tape / electronics と Homberger の violin に よる "Ceremoney" を演奏したのだが、音を重ねていくことによって、Evan Parker の electro-acoustic な試みのようにもくもく音が沸き上がるような感じを生むわけ ではなく、むしろ、緩やかに波打つように時間が進んでいくような感覚が生まれて くるような感じだったと思う。improv. の演奏では、ビート感に変化を持たせたり 無くそうとするあまり、単に急発進と急停止を繰り返すようだったり、逆に単に 一様な時間進行になってしまったりということになりがちだと、僕は感じているが。 このようなノリは、多分に、violin という楽器の特質のようにも思うけれども、 和んで聴かれるようなところもあって、悪くは無かった。これは、全体的にも いえるのだが。 Guy もそれなりにフリーキーな演奏をするけれども、比較的普通の音出しをして いたように思う。むしろ、印象的だったのはスライド奏法的な音出しが多用されて いたこと。テレミンやミュージカルソーほどではないし、スライドギターや ハワイアンギターみたいなものだといえばそうだけど、連続的に音程変化する 感じがいいタイミングで入ってきていた。指やピックで弾き続けるのでも、弓弾き で強い持続音を出すのでもなく、毛筆で撫でるようにしながら、スライドさせる ことによって、柔らかい音を連続的に音程変化させたりするあたりは、その音出し への拘りすら感じさせてくれて、さすがだと思ってしまった。 baroque な violin や cello というと、濁ったギーコギーコいう音という印象が 強かったので、綺麗な Homburger の音色はちょっと普通過ぎに感じるところも。 ほんとに古楽器を使っているの? とすら思ってしまった。普通に violin の演奏と して楽しんだけれども。 実は、ゲストとして、笙 奏者 の 石川 高 が最初にソロで演奏し、最後に3人で 共演したのだが。笙 といえば、雅楽で使われる「ぷぅわー」という感じの音が 出る管楽器。そんなに演奏を聴く機会が無いので、ソロは、そんなものか、という 感じで聴いて、共演の方の展開に期待したのだが。演奏がダメだったというよりも、 笙 と violin や double bass と意外に音色が重なってしまうようなところがあり、 共演しても音世界があまり広がった気がしなかった。ちょっと残念。 と、テンション高く聴くというより、普通にリラックスして楽しめたライヴだった。 2001/11/24 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕