Aki Takase
_St. Louis Blues_
(ENJA (HW), CD9130-2, 2001, CD)
- 1)St. Louis Blues 2)Way Down South Where The Blues Began
3)Mobilat 4)Morning Star 5)Eine Drehorgel Aus Dem 21. Jahrhundert
6)Lulu 7)Wer Kommt Mehr Vom Blues 8)St. Louis Blues
9)Nur Da Wo Du Bist Da Ist Nichts 10)Memphis Blues
11)Jazz Ain't What It Used To Be 12)Yellow Dog Blues
- Recorded 2001/7/29-31.
- Ali Takase (piano), Rudi Mahall (bass clarinet), Fred Frith (guitar),
Nils Wogram (trombone), Paul Lovens (drums).

Alex von Schlippenbach 界隈の free jazz / improv. の文脈での活動で知られる
在 Germany の日本人 piano 奏者 高瀬 アキ の新作は、約半分の6曲 (1,2,4,8,10,12)
が20世紀前半に活躍したブルースマン William Christopher Handy の曲だ。

といっても、bass-less で guitar 入りの 5tet という編成、というか面子からして、
普通に演っているわけではない。Der Rote Bereich の Rudi Mahall、Lucas Niggli
Zoom の Wogram、と、bass-less guitar trio でも活躍している2人をフロントに
置いて、bass-less という編成を生かしている。bass clarinet と trombone が、
時に brass band 的にベースラインを、ときに jazz 的にリードを取り、時々、
フリーキーに混沌とした世界に突入する、という感じでその変わり具合が面白い。
brass band での演奏も多い "St. Louis Blues" という題材も、この編成に
合っている。半数近くあるオリジナルも、何かオリジナルがあるのではないか、
と思うような曲になっている。

かなり崩して演奏している "Morning Star" のような曲でも、Aki Takase の強めな
piano の音も blues っぽく聴こえて、面白いのだが。ちょっと意外に感じたのは、
guitar に Fred Frith を持ってきたこと。もっと派手に演奏して欲しかったようにも
思うけれど。最近は、Louis Sclavis / Jean-Pierre Drouet との bass-less guitar
trio も組んでるくらいで、この手の演奏もけっこうやっているのかも。

bass-less 5tet というと、Myra Melford Same River Twice とか Talking Pictures
and Jorrit Dijkstra, _Hamming_ (Songlines, SGL1533-2, 2000, CD) とか、
Misha Mengelberg / Steve Lacy / George Lewis / Ernst Reijseger / Han Bennink,
_Dutch Masters_ (Soul Note, 121154-2, 1991, CD) とかいろいろ思い付くくらいで、
編成的には目新しいわけでない。しかし、編成と題材の必然性というか説得力と
いう点で、なかなか楽しめる作品だと思う。

2002/03/24
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕