Tim Berne
_Science Friction_
(Screwgun, SCREWU013, 2002, CD)
- 1)Huevos 2)Ihornet 3)Sigh Fry 4)Manatee Woman 5)Mikromaus
6)Jalapeno Diplomacy 7)The Mallomar Maneuvre 8)Clown Finger
- Recorded 2001/12.
- Craig Taborn (electric keyboards), Tom Rainey (drums),
Marc Ducret (electric &  acoustic guitars), Tim Berne (alto sax).

去年くらいから再び積極的にリーダー作をリリースしはじめた NY down town
シーンから出てきた jazz / improv. の sax 奏者 Tim Berne の新作は、
Hard Cell (_The Shell Game_ (Thirsty Ear, THI57099.2, 2001, CD) の編成) と
Big Satan (_Big Satan_ (Winter & Winter, 910 005-2, 1997, CD) の編成) を
合体させた bass-less quartet によるもの。編成から想像付くように、
Miniature 以来の bass-less 編成による静的な音作りの流れにある音だ。
つまり、drums のオフビートなリズムに乗りながら、bass を抜いて空けた
音空間に、sax や guitar,synth が繰り出していくような演奏だ。いつも通り
楽しめる佳作だ。

Ducret と Taborn の2人となったことによって音色や展開の幅がどのぐらい
広がったか、というのが、聴く前に期待していたことだったのだが。それに
ついては、2人の音がむしろ重なってしまったかな、という感で、ちょっと残念。
そういう点では、Ducret がひしゃげた guitar でギャシャギャシャやっている
時の方が、ピロピログーグーいう Taborn の keyboard 音とうまく住み分けて
面白いように思う。electronica 〜 breakbeats っぽいわけではないけれども、
_The Shell Game_ 以上に電気的に処理した音が目立ち、静かな展開の時の浮遊感が
ぐっと増したように思う (例えば、"Mikromaus" や "The Mallomar Maneuvre") 。

"Manatee Woman" のような、Rainey のつんのめるようなビートに乗せて Berne が
吹きまくる曲なんか大好きなのだが。Ducret や Taborn のひしゃげたソロも良いし。
ただ、こういう曲で Bloodcount で聴かせるような迫力ある Berne の bariton が
聴かれないのは、いささか物足りなく感じてしまう。こういう演奏はこの編成
ではなく、Bloodcount でやるものなのかもしれないが。

Tim Berne and Copenhagen Art Ensemble with Herb Robertson and Marc Ducret
_Open, Coma_
(Screwgun, SCREWU012, 2001, 2CD)
- CD1-1)Open, Coma 2)Sye Contact CD2-1)The Legend Of P-1 2)Impacted Wisdom
- Recorded 2000/9/16 excerpts CD1-1) 2000/9/17.
- Tim Berne (alto sax), Lotte Anker (soprano/tenor sax),
Thomas Agergaard (tenor sax,flute), Peter Fuglsang (clarinet,bass clarinet),
Herb Robertson (trumpet), Lars Vissing (trumpet), Kasper Tranberg (cornet),
Mads Hyhne (trombone), Klaus Loehrer (bass trombone,tuba),
Thomas Clausen (piano,fender rhodes), Marc Ducret (guitar),
Nils Davisen (bass), Anders Mogensen (drums), Lure Larsen (conductor).

_Science Friction_ は、_The Shell Game_ と違い、去年活動を再開した Berne の
レーベル Screwgun からなのだが。去年にリリースした再開第一弾も軽く紹介。

Denmark と Sweden で録音された、おそらく Berne 初の big band リーダー作品。
もっと派手な展開でやるかと思いきや、大人し目の展開。管が静か目にファーっと
音を響かせていることが多いように思う。長くてメリハリが無いのがちょっと辛いか。
Berne の新境地、なのかもしれないが、2枚組だしファン向けだろうか。

2002/05/06
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕