Popular Mechanics _Insect Culture_ (Solyd, SLR0108, 1998, CD) - 1)Insect Culture 2)The Blue Blouse (1987 remix) - Sergei Kuriokhin (synthesizers,composer,engineer,producer), Igor Verichev (tapes,engineer), Igor Butman (saxophones), Valery Alachov (tapes,engineer). - 1)Originally released as (Ark, DOVE5, 1987, LP). 1980年代から1990年代半ばにかけて活躍した Soviet jazz / rock の伝説的な ミュージシャン Sergey Kuryokhin がらみの音源のCD再発を、Russia のレーベル Solyd が精力的に行なっている。その中から、少し前にリリースされたものだが、 少々毛色の変わったものを紹介しよう。 この音源をリリースしたのは、Beggars Banquet 傘下のレーベル Situation Two と 関係のあった Liverpool のレーベル Ark で、1980年代半ばに Naffi Locksman や It's Immaterial といった Liverpool の indie pop / rock バンドのリリースで 活動開始したレーベルだった。また、_Dada For Now_ (Ark, DOVE4, 1985, LP) と いう1920年代の Dada のパフォーマンス音源のアンソロジーもリリースしていた。 そんなわけで、Soviet の "New Wave" のレコード、と、当時、紹介されていたのが 印象に残っている。といっても、その当時は手を出さなかったのだが。そういう点 では、待望の再発だったのだが…。 このレコードでは、New Composers (Igor Varichev + Valery Alachov) がテープ 音源の操作を担当しており、ラジオなどの音源のコラージュがかなりの重みを 占めている。短いブレイクのサンプリング的な使われ方もあるが、基本的に長尺の 引用なので、ちょっと映像作品を音だけ聴いているかのような印象を受ける。 Kuryokhin の電子楽器と Butman の sax 掛け合いとか、粗めの Richard Taitelbaum - Anthony Braxton 風に感じる展開もあるけれども。よくやっていうなぁ、とは 思うが、生理的にツボにハマる所が無かったのは残念。ただ、Sergey Kuryokhin の アンソロジー _Devine Madness_ (Leo, CDLR813/816, 1997, 4CD) で聴かれるような、 この頃の Popular Mechanics の録音に比較すると、楽しめる内容とも思う。 ちなみに、このアルバムで主要な役割を担っている New Composers (Igor Varichev + Valery Alachov) は、1990年代も ambient なユニットとして活動を続けている。 Pete Namlook と交流が深く、彼のレーベル FAX+49-69/450464 から次の3タイトルの CDをリリースしている: Pete Namlook & Lakoff / IgrVer, _Planetarium_ (FAX+49-69/450464, PW38, 1998, CD)、New Composers (special guest Brian Eno), _Smart_ (FAX+49-69/450464, PS08/95, 1999, CD)、Pete Namlook & New Composers, _Planetarium II_ (FAX+49-69/450464, PW42, 1999, CD)。 2002/05/20 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕