Piniartut _Piniartut (Hunters)_ (Tutl, SHD51, 2001, CD) - 1)Verkko (The Net) 2)Rysae (The Fishing Trap) 3)Eqalussuaq - Tuonen Hauki (The Pike Of Death) 4)Piniartoq (Hunter) 5)Malugaara Ilunni (Deep Inside Myself) 6)Ilvedhur (Stormy Weather) 7)Hylje (The Seal) 8)Auld Swaara (The Old Dark Sweater) 9)Aino 10)Ullorissat Untritillit (Thousands Of Stars) - Produced by Tellu Virkkala. Recorded 2000/8/28-9/3,10/10. - Tellu Virkkala (vocals,mora harp,percussion), Rasmus Lyberth (vocals,recitation,sound effects), Ville Kangas (bouzouki,violin,piano,backing vocals,cow bell), Kristian Blak (piano,organ,grass straw); Timo Myllykangas (double bass) on 6,9; Antti Rintamaki (vocal) on 3; Kimmo Sarja (vocal and throat singing) on 3. Piniartut は、Finland 出身の Virkkala と Kangas、Faroe Islands 出身の Blak、 Greenland 出身の Lyberth からなるバンドだ。Greenland や Finland それに、 Faroe や Shetland など北海の島嶼地域の伝承曲をモチーフにしているようだが、 アレンジや録音はぐっとモダンだ。1990年代に入って、北欧諸国 (特に Sweden) からは rock 的なバンド編成やサンプリングや打ち込みを用いた folk / roots の バンド (例えば、Hedningarna や Garmarna) が多く出てきているのだが、それに 近い音作りだ。ちなみに、Piniartut のリーダー格の Virkkala は、1990年代前半は、 Sweden - Finland 混成のバンド Hedningarna の歌手として活動していた。 Virkkala のハイトーン直前の高い歌声と、Lyberth の喉声のじゃみじゃみした 歌声の取り合わせが、一番面白い。遠くで響くような深めのエコーも巧く利用した 奥行き感のある音作りも、ambient 的な方向にあまり走らずに、むしろ歌唱や 楽器音が交錯していくような緊張感を作り出していることが多く、気にいっている。 (特に、"Eqalussuaq - Tuonen Hauki"。) クレジットには guitar が無いのだが、 エフェクトかけた浮遊感のある el. guitar のように聴こえる音が用いられている。 bouzouki あたりの音を加工しているのだろうか。 しかし、後半に増えるのだけれど、静か目の展開で Blak の piano の音が入ると、 ちょっとクラシカルというか甘めな感じになってしまうのが惜しい。最も好きなのは ぐるぐると飛び交うような弦楽器か何かの音が、畳みかけるようなリズムに載る "Rysa" なのだが、そういうパーカッシヴな曲が、もっと欲しかったようにも思う。 このCDをリリースしている Kristian Blak のレーベル Tutl は、Faroe Islands を 拠点に活動するレーベルだ。単に地元のミュージシャンを紹介するだけではなく、 Denmark や Iceland 、Greenland を中心に北欧諸国のミュージシャンのネットワーク を作っている感もあるレーベルだ。この Piniartut も Tutl ならではの顔合わせの ようにも思う。 2002/05/26 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕