Stereotyp
_My Sound_
(G-Stone, CD017, 2002, CD)
- 1)My Sound (feat. Tikiman) 2)Jahman (feat. Tikiman)
3)Fling Style (feat. Tikiman) 4)Royal Jelly (feat. Sugar B)
5)Don't Funk With Me (feat. Cesar) 6)All Di Gal Com (feat. Collage)
7)Trigger Culture (feat. MC Trigger) 8)Tell Me (feat. Hubert Tubbs)
9)Silence (feat. Colee Royce) 10)Time (feat. Greenwood)
11)Last Song (feat. Cesar)
- Written and Produced by Stefan Moerth a.k.a. Stereotyp.

Vienna, Austria を拠点とする breakbeats 系のレーベルに Peter Kruder &
Richard Dorfmeister 率いる G-Stone レーベルがある。Peace Orchestra や Tosca
などのプロジェクトでも知られるわけだが。1990年代半ばは downtempo 〜 trip hop
とでもいう感じだが、最近は、dub 的な音作りを強めているように思う。

Stereotyp こと Stefan Moerth も、その界隈の Vienna のミュージシャンだ。
その新譜は、様々な歌手をフィーチャーした歌物のアルバムだ。ちなみに、
Berlin の dubwize な minimal techno のユニット Rhythm & Sound
(Moritz von Ozwald and Mark Ernestus) との共演で知られる Dominica 出身の
歌手 Tikiman を、3曲でフィーチャーしている。

サンプラー盤での Stereotyp feat. Soothsayer, "Dub Club Track" のミリタンなト
ビート感に惹かれて、このアルバムを聴いてみたのだが。reggae / dub 的な要素と
いっても、roots 的なそれでなく dancehall 〜 ragga 的なアップテンポ的なもの
からの影響を感じられる、というのが、ちょっと新鮮だった。"All Di Gal Com" や
"Trigger Culture" のような、オフビートな ragga というような曲も、jungle とは
また違った面白さがあるように思う。

techno / house 的な部分にしても、minimal なものでなく、もっと装飾的というか
Garage 〜 2-step 的なもののように感じられる。Cesar や Hubert Tubbs、
Colee Royce、Greenwood といった後半の歌手の歌唱が soul 的、というところも
あるのだろうけれど。

"Dub Club Track" のような曲といえば、"Fling Style" が、間合いを巧く使った
硬質なビート感 (On-U Sound / Adrian Sharwood とも共通するような) と、浮遊する
ような Tikiman の歌声の交じり具合が、かっこいい。このアルバムのベストトラック
だろう。こういう dubwize な曲がもっとあると嬉しかったのだが。全体としても
それなりに楽しめたアルバムだった。

Various Artists
_Dub Club 2000+1 Love_
(G-Stone / Dub Club, 003CD, 2000, CD)
- 1)Dub Club Track (Stereotyp feat. Soothsayer)
2)Chemicals And Sulfat (Sofa Surfers) 3)Alien Horns (Operator Spice)
4)Invisible Music Part 3 (Elektronauten) 5)Millenium (Submission feat. Tikiman)
6)Sweet Love (Singing Bird) 7)Sparka Sensi (Megablast + El. Coka)
8)High Grade (Camel) 9)To The Foundation (The Rootsman) 10)Dinaman (Akadalik)
11)Reggae Station (Marty. D) 12)Ultimat (VCO + Scheibosan)
13)Telephone (Dub Club rmx) (Aromabar) 14)Up (Robi Insinna)
15)Headsmoke (Cosmic Rocker vs Nickodemus) 16)Every Monday (B. Low)

Stereotyp のような Vienna 界隈の dubwize な音楽シーンを紹介する編集盤が、
2年ほど前に G-Stone 傘下の Dub Club レーベルからリリースされていた。
遅れ馳せながら手に入れたのだが、Stereotyp, _My Sound_ よりも楽しめたので、
一緒に紹介したい。

Stereotyp はもちろん、Berlin の Rhythm & Sound に比べても、reggae 的だ。
Elektronauten, "Invisible Music Part 3" では、Lee Perry の曲のような
コーラスや音の重ね方を感じるし。Submission feat. Tikiman, "Millenium"
での歌唱での歯切れのよさにしても、British reggae っぽいように思う。
Singing Bird, "Sweet Love" や Marty. D., "Reggae Station" などは、
1990年代前半の digital roots の roots 的な音の解釈だ。ちなみに、やはり、
ベストトラックはオープニングの Stereotyp feat. Soothsayer, "Dub Club Track"。
淡々と硬質な少々前のめりのトラックに、押し殺すようなMCが、緊張感を感じる
曲になっている。

The Rootsman, "To The Foundation" や Robi Insinna, "Up" など、guitar の
フレーズに前のめりのリズムも reggae らしくなく、むしろ dubwize な new wave
風とも聞こえるように思うのだが。そういう部分も含めて、1980年代以降の
British reggae (特に Adrian Sharwood 界隈) が好きな人であれば、かなり
楽しめるようにも思う。2000年にもなった今になって、Vienna からこういう音が
どんどん出てきている、というのも、少々面白いように思うが。

2002/02/21
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕