満月の十三祭り第七章「ユーラシアフェスティバル」 東京池上本門寺 (池上,西馬込), http://www.honmonji.or.jp/ . 2002/10/21, 18:30〜 - バンブー・オーケストラ, Earth-Wheel-Sky Band, Djivan Gasparyan Trio, 鬼太鼓座; 上妻 宏光, 梅津 和時. 東京池上本門寺が2002年4月から1年間満月の夜に開催する野外コンサート・ シリーズ『満月の十三祭り』を開催している。その7回目に、なかなか来日 しなさそうな気になるミュージシャンが2組参加していたので、それを目当てに 観に行ってきた。といっても、さすがに18時半開演は厳しくて19時過ぎ頃に 会場に着いた。どうやら バンブー・オーケストラ の演奏は終っていたようだ。 小雨もぱらつく寒い晩、客の入りも悪く、状況は悪かった。開演に間に合わ ないので立見にしたのだが、ステージは遠いし。 会場に着くと、既に Earth-Wheel-Sky Band の演奏が始っていた。去年来日した Boric Kovac & LaDaABa Orchest のメンバーでもある Olah Vince 率いる Novi Sad, Vojvodina, Serbia の Gypsy music のバンドだ。編集盤で1曲聴いた ことがあるだけでどういう音楽がほとんど予備知識は無かったのだが。guitar が入っているせいか、特に3拍子系のリズムというわけでないが、少々 flamenco に近い印象を受けた。最後に sax の 梅津 和時 が加わって少々盛り上がった けれども、客も温まらずに終ってしまった。ちょっと残念。 続いて、Armenia 出身で Michael Brook や Kronos Quartet とも共演している duduk (雅楽の篳篥のような楽器) 奏者 Djivan Gasparyan の trio。Gasparyan は 今年の WOMEX (欧州で開催されている world music の見本市) では、アワードも 受けることになっている。今回が初来日だ。低音を吹く2人を両側に従えて、 Gasparyan が旋律を吹くというもの。_I Will Not Be Sad In This World_ (Opal, 9 25885-2, 1989, CD) では、通奏低音が響き続けるという感じで リズミカルな展開になることが無かったのだが。このライヴでは、曲の後半に なると次第に演奏がリズミカルになり、clarinet のアンサンプルのようになる のが面白かった。こういう形式もあるのか、その後の world music 的な音楽制作 の中で作り出して行ったのか、よく判らないが。梅津 和時 がゲストで参加して、 dam (drone duduk) の通奏低音を背景に soprano sax でゆったり吹いたのも、 けっこう気に入った。 続いて、和太鼓のアンサンブル 鬼太鼓座 (おんでこざ、と読む)。鬼太鼓と いえば、佐渡の伝統的な大太鼓だが、伝統芸能としての 鬼太鼓 を演っている わけではない。鼓童 (佐渡を拠点とする和太鼓アンサンブル) なんかにも、 アプローチは近いように思う。基本的にパーカッションのアンサンブルは好き なのだが、立見席でステージから遠く太鼓の音圧が感じられなかったこともあり、 正直に言って物足りなかった。 最後は、全出演ミュージシャンによる「スーパーセッション」だった。いろいろな バックグラウンドを持つミュージシャンの共演、というには、こういうセッション が得てして面白くなくなるのは、予定調和的だからだろうか。ま、お祭りという ことでこういうセッションもいいと思うのだが、客が充分に温まっていないと、 ちょっと辛いところはあるかもしれない、と聴いていて思ってしまった。 昼の半ば嵐のような雨からすると、中止にならなかっただけ良かったのかも しれないけれど、良いコンディションで観たかったなぁ、と思った。特に、 Earth-Wheel-Sky Band と Djivan Gasparyan Trio は、もう少しこぢんまりした ハコで PA をあまり使わないで聴きたかったように思った。 2002/10/21 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕