Willem Breuker Kollektief Super Deluxe (六本木), http://www.super-deluxe.com/ . 2002/11/22, 19:30-22:30. - Willem Breuker (saxophones,clarinet), Hermine Deurloo (saxophones,harmonica), Maarten van Norden (saxophones), Boy Raaymakers (trumpet), Andy Altenfelder (trumpet), Andy Bruce (trombone), Bernard Hunnekink (trombone,tuba), Arjen Gorter (bass), Henk de Jorge (piano), Rob Verdurmen (percussion). 演奏の凄さというより、演奏から逸脱するパフォーマンスの方でむしろ知られる ように思う Netherlands の post-free というかポストモダンな傾向を持つ jazz band、Willem Breuker Kollektief のライヴを観てきた。去年の初来日は 日程が合わずに見逃したので初めて観たのだが。その逸脱ぶりが凄い、という ほどでは無かったけれど、遊び心も微笑ましいと思うくらいのものはあったし、 演奏のノリもけっこう良かったので、リラックスして楽しめたものだった。 技巧をみせる、音を聴かせる、という感じの演奏をしない、というか、一瞬そう いう演奏をするのかな思っても、すぐそれを茶化す方向に逸れてしまう感じの 演奏だった。その逸脱も本格的なパフォーマンスに至るというよりも、軽い往なし 茶化しという感じなので、そのリズムにハマるまでは、正直に言って、たいした ことは無いなぁ、と思っていたのだが。ライヴの最後の頃には、あくまで凄いと 思わせないような外し方に、むしろ拘っているのかな、と思わせるくらいの 説得力を感じるものになった。いや、最初のうちはソロの途中で息切れして みせたり、とかでむしろ苦笑していたのだが。凄いと思わせる程でもなく、 少しずついつのまにかにか客を乗せて、フィナーレ (二度目のアンコール) の "Mandalay Song" (Brecht / Weil) では、(もともと狂躁的な曲ではあるが) とても勢いとノリのある演奏で、会場を大いに沸かせるところまで持って いったし。そういう客のノセ方はクラウン芸あたりにも通じるのかな、と思う ところすらあった。 Willem Breuker も悪く無かったけれど、キャラ立ちという点では trumpet の 2人がお茶目なおじいさん2人組という感じで、見ていて楽しかった。半数近くが 1970年代からのメンバーなわけで、いいかんじで年をとっているなぁ、と思って しまったり。唯一の女性メンバー Hermine Deurloo (メンバーの中では若い) は、 harmonica のソロなどカッコ良かったけれど、コミカルな立ちまわりがあまり 無かったのはちょっと残念。 レコードでちゃんと追いかけていたわけでないので、知っている曲はほとんど 無かったのだけれど、知っている曲があった方が楽しめたのかな、と思うところ もあった。こういう逸脱を多様するバンドの場合、既知のスタンダード的な曲の 方がズラしの面白さが出ると思ったりもした。ま、最後の Brecht / Weil の "Mandalay Song" はお約束の曲といえばそうなのだが、フィナーレでむしろ逸脱で 楽しませたわけではなかった。 2002/11/24 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕