Michael Moore with Tristan Honsinger and Cor Fuhler
_Monitor_
(Between The Lines, btl003, 1999, CD)
- 1)Riddled 2)Budnike 3)Five Bits 4)Misericordia 5)Gulls
6)Race In Space For Face 7)Focus 8)Bounding
9)Desinteresse En Deviatie, Opnieuw En Opnieuw 10)Monitor 11)Barium
- Recorded 1999/2/22-23.
- Michael Moore (clarinet,bass clarinet,alto saxophone),
Tristan Honsinger (cello), Cor Fuhler (piano,keyolin,organ).

Michael Moore with Tristan Honsinger and Cor Fuhler
_Air Street_
(Between The Lines, btl023, 2002, CD)
- 1)Train Chords / Spiky-Haired Boy / Mule Standing In Field 2)Participants
3)Air Street 4)Nobody's Blues 5)Ladida 6)Basket 7)Still Beating
8)Related To Harry 9)De Ford 10)Eyes Fixed 11)Freies Geleit
- Recorded 2001/5/7.
- Michael Moore (clarinet,bass clarinet,alto saxophone),
Tristan Honsinger (cello), Cor Fuhler (piano,keyolin,organ).

Michael Moore はUS出身ながら、現在は Netherlands を拠点に活動する reeds 奏者。
I.C.P. (Instant Composing Pool) 界隈の free jazz / improv. のセッションに
よく参加している。1990年代は Han Bennink (drums)、Ernst Reijseger (cello)
との Clusone 3 で、小気味良いスタンダードを脱構築する演奏を楽しませてくれた。
しかし、最近は Clusone 3 は解散してしまったようだ。

最近、2枚のCDをリリースしたこのトリオは、drum-less。Clusone 3 というより、
Fred Hersh (piano) と Mark Helias (bass) との Michael Moore Trio の後継と
いう感じだ。Moore の clarinet / saxophone は、1950年代の Jimmy Giuffre や
Lee Konitz を受け継ぐようなスタイルなのだが、編成もあって、まさに、1960年代
初頭の Jimmy Giuffre 3 (with Paul Bley (piano) and Steve Swallow (bass))、
それも抽象度の高い _Free Fall_ (Columbia, CS8764, 1962, LP / Columbia Legacy,
CK65446, 1999, CD) を思わせる演奏だ。さらに、bass が cello になって、浮遊感
も増したように思う。といっても、濁って太い音を多用する Honsinger は bass
的な役割も十分に果たせているのだけれど。

もちろん、Jimmy Giuffre 3 の雰囲気をそのまま再現しているわけではなく、
それから外れる要素もある。牧歌的とも感じるのんびりした曲もあるが、アップ
テンポの緊張感高めの演奏もある。特に、Fuhler が弾く keyolin は violin の
ような音色で、Honsinger の cello と絡むとピンと張り詰めたような雰囲気になる。
全体として、緊張と弛緩のバランスがとても良いように思う。

Fuhler は MIMEO (Music In Mouvement Electronic Orchestra) にも参加しており
live electronics も使うミュージシャンだが、このトリオでは使っていないようだ。
使うとどうなるか、という興味もあるが。こういうアコースティックな音で十分
楽しめると思う。

Jimmy Giuffre 3 的、といえば、Paul Bley / Evan Parker / Barre Phillips の
_Time Will Tell_ (ECM, ECM1537, 1995, CD) や _Sankt Gerold Variations_
(ECM, ECM1609, 2000, CD) もあるわけだけれど。この抽象度が高いトリオよりも、
緊張と弛緩の行き来の中にユーモアも感じる Michael Moore のトリオの方が、
僕は気にいっている。

2002/12/10
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕