Accordion Tribe _Sea Of Reeds_ (Intuition, INT3327-2, 2002, CD) - 1)Tangocide 2)Unikko 3)Pas Du Valse 4)Swither 5)Portaletyde 6)Gras 7)Goldhorn 8)Silvia's Tongue 9)Suedaf 10)Tuttuni 11)Chalk Dust 12)Thursday Night's Fridays 13)Spinning Jennie - Produced by The Accordion Tribe. Recorded 2001/11. - Bratko Bibic (Hohner Tango piano accordion,voice), Lars Hollmer (Zerosette piano accordion,Suzuki melodica,voice), Maria Kalaniemi (Lesse Pihlajamaa Timangi standard 5-row button acordion, Lesse Pihlajamaa free-bass 5-row button accordion,voice), Guy Klucevsek (Titano Piano Bayan with 45-key piano keyboard and coverter bass (120 bass converter to 4-row chromatic free bass),voice), Otto Lechner (Hohner Lucia piano accordion,voice). Slovenia 出身で ex-Begnagrad / ex-Nimal の Bratko Bibic、Sweden 出身で Samla Mammas Manna の Lars Hollmer (2人はいずれも RIO (Rock In Opposition) の流れから出てきている)、Finland 出身で roots 的な音楽を現代的に解釈する バンド Aldargaz を率いる Maria Kalaniemi、US出身の Slovenia 系で John Zorn や Bill Frisell の界隈での活躍が目立つ Guy Klucevsek、Austria 出身で Max Nagl のバンドで活躍する Otto Lechner、という一癖ある活動をそれぞれ 展開している accordion 奏者5人からなるプロジェクトが Accordion Tribe だ。 _Accordion Tribe_ (Intuition, INT3220-2, 1998, CD) に収録されたライヴ音源の 元になった1996年の欧州ツアーの際は、一時的なプロジェクトという面が強かった ように思う。しかし、去年 (2002年)、再結成して欧州ツアーを敢行。それに合わ せてリリースしたスタジオ録音盤がこの _Sea Of Reeds_ だ。 期待が過大だったせいか、正直、初めて聴いたときは、少々凡庸に感じた。しかし、 _Accordion Tribe_ と聴き比べても悪いわけではない。スタジオ盤だからか、前回の 共演の経験を生かしたのか、むしろ、前作よりも1曲が長めで、編曲はよく練られて いるように思う。北欧〜中欧の folk / roots 的な旋律はもちろん、題名通り アコーディオンの響きがゆったり波打つような感じも、B.G.M.的に聴いていると とても気持ち良い。しかし、フリーキーな要素が減って、ぐっとなめらか。 この面子なんだから、もう少し壊れるような瞬間があっても、とも思ってしまった。 accordion の演奏だけでも充分楽しめるけれど、最も気に入ったのは、やはり Kalaniemi の歌声をフィーチャーした曲。"Unikko" と "Tuttuni" は彼女の曲で、 特に "Unikko" は voice を大幅フィーチャーした曲になっている。Kalaniemi の 澄んだハイトーンと Yoik (Sami の伝統的な地声歌唱) 風の男声 (誰が歌っている かは不明) の組み合わせが良い。Hollmer の曲 "Pas Du Valse" でも、Waltz が 壊れたようなオフビート気味のリズムに Kalaniemi のハイトーンのスキャットが 乗る感じがかっこいい。 accordion 演奏の可能性を感じるというほどではないが、その音色を堪能できる 佳作だろう。 2003/1/12 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕