Northern Lights
_Airplay_
(Provocateur, PVC, 2002, CD)
- 1)Ancient Dreams 2)In All Languages 3)Crazy Midnight 3-1)Midnight
3-2)Twelve Midnight 3-3)Midnight Air 3-4)Midnight Reel 5)Still Waters
6)Dark Blue 7)HopScotch
- Annie Whitehead (trombone), Alistair Anderson (concertina);
Chris Stout (violin), Ian Maidman (guitar), Liam Genocky (drums).

Annie Whitehead は1980年代前半に Weekend 〜 Working Week のホーンセクション
のメンバーとして注目された女性 trombone 奏者だ。彼女の初リーダー作 _Mix Up_
(Palladin, PAL6, 1985, LP) は Working Week のレーベルからリリースされており、
当時は、他にも Jah Wobble や Fun Boy Three など British new wave 界隈の
セッションでよく名をみかけたものだった。しかし、次第に Chris MacGregor's
Brotherhood Of Breath やその界隈の British jazz シーンに活動の中心を移した。

そんな Whitehead が、British folk シーンで活躍する Northumbria の concertina
(accordion の一種) 奏者 Alistair Anderson と結成した British folk / jazz
混交バンドが Northern Lights だ。Shetland (Scotland 北方の諸島) の violin
(というか fiddle) 奏者 Chris Stout 、Whitehead と Harry Beckett (trumpet) と
Rude を組む Ian Maidman (guitar) と Liam Genocky (drums) が参加している。

最も気に入っているのは、folk な曲調の影響が大きい "Crazy Midnight" 組曲。
静か目にテーマを弾く "Midnight" や "Midnight Air" と、folk dance チューンを
jazz funk 的な解釈で聴かせるような "Twelve Midnight"、"Midnight Reel" の
対比が、特に気に入っている。

concertina、trombone、violin、guitar、drums の順で編成を増やしながら、
可愛らしい folk 的なテーマを繰り返す最後の "HopScotch" も、folk dance
チューン的なシャキッとした演奏で楽しい。

全体としては、ゆったりと聴かせる曲が多く、正直に言えばだれた感じもする時は
ある。しかし、柔和な trombone や concertina の響きも和む感じで、気にいって
いるアルバムだ。

このアルバムをリリースした Provocateur からは同様の試みのアルバムが他にも
リリースされている。

Andy Sheppard & Kathryn Tickell
_Music For A New Crossing_
(Provocateur, PVC2001, 2001, CDS)
- 1)Part 1 2)Part 2 3)Part 3
- Recorded 2001/7.
- Andy Sheppard (saxophones,grogramming,guitar,keyboards),
Kathryn Tickell (Nothumbrian pipes), Chris Wells (percussions).

ex-Urban Sax で1980年代末から British jazz シーンで活躍する Andy Sheppard が、
Northumbrian pipe (bugpipe の一種) 奏者 Kathryn Tickell と作ったミニアルバム。

Part 1 では、Sheppard は高めの saxophone の響きをゆったり聴かせ、フレーズと
いい Jan Garbarek を思わせるところがある。それに Tickell のプゥイーいう
感じの pipe の響きが絡む。Part 2 では、むしろ Tickell の folk dance チューン
的な曲に、Sheppard の saxophone が絡む、という感じだ。リズムはいささか
ambient がかった trip hop 的なもので、この2曲ではあくまで背景に徹している。
最後はリズムぐっと前に出て、その上に saxophone と pipe の音が流れるという
感じだ。浮遊するような electric guitar のフレーズもかっこいい。

electronica / breakbeats 的な要素も含めた jazz / folk 混交というコンセプトの
面では新しいとは思わないけれど、_Music For A New Crossing_ や _Airplay_ は、
UK のシーンにおける混交の試みの可能性を充分に感じさせてくれると思う。
これからの、この界隈の展開にも期待したい。

2003/01/19
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕