Okay Temiz ve Ritim Atolyesi _Okay Temiz ve Ritim Atolyesi_ (Ada Muzik, 692646 50212, 2002, CD) - 1)Gin Gi Gin 2)Su Yatagi 3)Samba 4)Dergah 5)Dei-Gei 6)Su 7)Mizrak 8)13 Steps 9)Ates 10)Sallama 11)Tim Tim 12)Frogg Dreams 13)Salty Nuts 14)Together - Recorded 2001. - Okay Temiz, Yamar Thiam, Rustem Cembeli, Tom Temiz; Ayse Nur Yagiz, Ayzen Topaloglu, Deniz Karamursel, Ebru Ayarci, Engin Turan, Erdem Yoruk, Erkan Ramazanogullari, Gaye Ayral, Gokhan Ince, Gulhan Cifdaloz, Hakan Arabacioglu, Murat Bizel, Sinan Tansal, Taner Aytis, Yasemin Celik, Yasar Morpinar, Yilmaz Yesilyurt. Okay Temiz は Turkey 出身で伝統的な楽器も使う打楽器奏者。1960年代末に jazz trumpet 奏者 Don Cherry と共演して以来、欧州の jazz / improv. シーン で活躍してきた。そんな彼は、最近、打楽器のワークショップを欧州各地で開催 してきている。このアルバムは、西アフリカ系の打楽器奏者 Yamar Thiam をゲスト に迎えての Temiz のワークショップ参加者たちのアンサンブル Ritim Atolyesi (Rhythm Group の意) の演奏を収録したもの。ライヴの様子の写真がブックレット などに用いられているが、Istanbul, Turkey のスタジオでの録音のようだ。 アンサンブルが使っている打楽器は、darbuka もいないわけではないが、写真を 見るとどうやら djembe が過半のようだ。 Yamar Thiam 作の "Gin Gi Gin" や "Dei-Gei"、"Tim Tim"、"Together" は、 アンサンブルみんな揃っての演奏が中心。音だけだど、以前にライヴで観たこと がある sabar (西アフリカの hand drum の一種) の ensemble に似ている。 かなり揃っているし、かなりの迫力だ。生演奏だったら凄そうだなぁ、とも思う。 もちろん、用いられているのは打楽器だけではなく、中近東のものと思われる 管楽器 (ney とか) とか口琴 (jew harp) もフィーチャーされている。その手の 管楽器と African percussion の絡みとかも、怪しげで面白い。"samba" では samba 打楽器隊な演奏にも挑戦している。エコーがメインだが、電子的な音弄り をするときもある。 打楽器アンサンブルとしても楽しめる。しかし、それ以外の部分の要素の雑食さ 加減も良くて、ちょっと怪しげで充分に楽しめるアルバムになっている。お勧めだ。 このCDをリリースしているのは、Bayoglu, Istanbul にあるショップ兼レーベルの Ada Muzik。1980年代半ばから folk / roots と左翼SSWの音源をリリースしていた そうだが、ここ数年、Doublemoon レーベルなどと共に、"Beyoglu Beat" と呼ばれる Istanbul の新しい音楽の動きの拠点になっているという。Temiz も、最近の作品は、 多くを Ada Muzik からリリースしている。そんな中から、Ritim Atolyesi と 同様の他の folk 的な要素との混交の試みの録音を紹介しよう。 Okay Temiz _Black Sea Art Project_ (Ada Muzik, 692646 50193, ?, CD) - 1)Three Friends 2)Moving Wagon 3)Rodop Daglari 4)Folk Song 5)Tekez Zortlatmasi - Recorded 1996/10/26. - Okay Temiz (percussion,drums), Akay Temiz (drums,percussion), Ergun Senlendirici (trumpet), Ivo Papasov (clarinet), Harry Tavitian (piano), Anatol Stefanet (viola), Alexander Alexandrov (bassoon), Nariman Umerov (accordeon), Zurab Gegnidze (electric bass), Floros Floridis (soprano sax,bass clarinet), Enver Izmailov (electric guitar). The Black Sea Orchestra として知られる jazz / improv. の文脈で名の知れた 黒海沿岸諸国出身のミュージシャンによって編成されたビックバンドのライヴ録音だ。 以前にリリースされていた _The Black Sea Project_ (Lyra, ML0660, 1998, CD) (レヴューは http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/02042501) と同じライヴ音源の ようだ。"Moving Wagon" は同じだが、"Folk Song" や "Tekez Zortatmasi" は 編集状態が異なっている。特に、最も Turkey 〜 Balkan 的な要素を感じる曲 "Folk Song" が _The Black Sea Project_ より長めになっているのが嬉しい。 "Three Friends" は、"Paramashivam Smile" として収録されている曲の一部の ように思われる。"Rodop Daglari" は、_The Black Sea Project_ 未収なのだが、 意外に4ビートをやっていて、それも悪くない。 まずどちらかといえば、_The Black Sea Project_ の方がノリの良い部分を巧く 編集しているように感じてお薦めだが。それが気にいっているのであれば、 _Black Sea Art Project_ を入手してみてもいいだろう。ただ、このプロジェクトは 編成をいろいろ変えて継続的に活動しているだけに、他の編成の時の録音を聴いて みたかったようにも思う。今後のリリースに期待したい。 Burhan Ocal / Pete Namlook _Sultan_ (Ada Muzik, 692646 50056, ?, CD) - 1)Yenilik 1-1)Bolum I 1-2)Bolum II 1-3)Bolum III 1-4)Bolum IV 1-5)Bolum V 1-6)Bolum VI 1-7)Bolum VII 1-8)Bolum VIII 2)Gel Gor Beni Ask Neyledi - Burhan Ocal (percussion,tambur,ud,saz,moog,synthesizer,vocal), Pete Namlook (electronics,mix) - Originally released as (FAX+49-69/450464, PW27, 1996, CD). Temiz より若い世代で jazz / improv. 界隈で活躍している Turkey 出身の打楽器 奏者といえば、Gypsy 系の Burhan Ocal がいるのだが、彼の音源も Ada から リリースされている。Frankfurt 出身の techno / ambient のミュージシャン Pete Namlook との共演盤で、もともと Namlook のレーベルから限定数リリース されていたものの再発だ。ちなみに、この2人はもう一枚 _Osman Sultan_ (1998) をリリースしているが、こちらはメジャー Emacy (Turkey) から再発されている (レヴューは http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/03011301 )。 確かに Namlook の ambient 風の keyboards の音が耳につくときもあるが、前半の "Yenilik" は8部構成の比較的リズミカルな曲。"Gel Gor Beni Ask Neyledi" は20分 あまりの長尺のノンビート ambient 曲で、これはいささか退屈。 まずどちらかといえば、パーカッシヴな _Osman Sultan_ の方がお薦めだ。 ただ、oud かき鳴らしの "Yenililk" の "Bolum 4" や "Bolum 7" など、 darbuka やミニマル風な打ち込みとの掛け合いもかっこいい。これだけでも充分に 楽しめた。_Osman Sultan_ が楽しめた人なら、続けて手を出すのもいいだろう。 2003/03/02 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕