DuOuD
_Wild Serenade_
(Label Bleu, LBLC2588, 2002, CD)
- 1)Yarimo 2)Racailles 3)Zanzibar 4)Interluth 5)Chase 6)"Ne Yalan Soyleyeyim"
7)For Nedim 8)Racine D'Enneade 9)Berlin Paris 10)Le Retour D'Ulysse
11)Midnight For Dancing With Friends In Your Living Room
- Recorded 2002/5/20-26.
- Mehdi Haddab (acoustic and electric oud),
Smadj (acoustic and electric oud,computer);
Vincent Segal (electric cello) on 2,5,11; Cyril Atef (drums) on 2,5,11;
Pierre Fruchard (electric guitar) on 8,11;
Nedim Nalbantoglu (violin) on 5,7,11; Thomas Ostrowiescki (percussions) on 1,8.

Tunisia 出身で M.E.L.T. 2000 レーベルから breakbeats も使った折衷的な
2枚のソロ・アルバムをリリースしている Smadj (Jean-Pierre Smadja) と、
France / Italy / Algeria 混成の pop トリオ Ekova のメンバー Mehdi Haddab 、
という2人の Paris を拠点に活動する oud の奏者のデュオが DuOud だ。

それまでの2人の活動から予想される oud 使った Arab 風の曲を打ち込みも
駆使してモダンなアレンジで聴かせる、という予想の範囲の音だった。
リリースが jazz / improv. 系のレーベル Label Bleu からのリリースで、
breakbeats ががった jazz / improv. の Arab 風味という感じ。

それほど目新しいことをやっているわけでないが、充分に楽しめるアルバムだ。
オフビートな感じになるときもあるが打ち込みとも親和性のある屈折した
グル―ヴ感が、いい緊張感を生んでいる。ディストーションかかった oud や
guitar の音色の使い方も良い。France の Arab 系の音楽といえば rai が
有名だが、それよりも Rachid Taha の攻撃的な音楽を連想させる緊張感だ。

"Racailles"、Georgio Moroder ネタの "Chase" とその remix の "Midnight
For Dancing With Friends In Your Living Room" では、Bumcello の2人
Vincent Segal と Cyril Atef が参加して、よりシッカリしたリズムを組み
上げている。vielle a roue を使った Occitan のバンド Dupain のアルバム
_Camina_ (Virgin (France), 7243 812498 2, 2002, CD) の制作も秀逸だった
Bumcello だが、その北アフリカ版という感すらある。彼らの全面的な制作で
アルバムを作って欲しかったように思う。また、Okay Temiz や Ivo Papasov との
共演で知られる Turkey (Gypsy 系) の Nedim Nalbantoglu の violin も効果的。

最近、汎欧州的に見られる folk/roots-influenced な音楽の動きに連なる
お薦めの作品だ。

Vincent Segal
_T-Bone Guarnerius_
(Label Bleu, LBLC6646, 2002, CD)
- 1)T-Bone Guarnerius 2)Edla Et Jankel 3)Vienne 4)Mercurial Gramofon
5)Last Goodbye 6)Circle Around 7)Under My Thumb 8)Nnomo Nga Wono
9)Etude Du Bikutsi 10)Castor 11)Lotus Blossom 12)The Life 13)Bum(p) On The Head
14)Bright Mississipi 15)Rien Dans Les Poches 16)B-Lie 17)La Redina
- Recorded 2001-2002.
- Vincent Segal (electric & acoustic cello); Magic Malik (flute,voice) on 2,3;
Seb Martel (electric guitar) on 4; Piers Faccini (voice,guitar) on 5,6;
Mama Ohandja (voice) on 8,9; Glenn Ferris (trombone) on 11,12;
Vic Moan (voice,mandolin) on 14; Gilles Coronado (electric guitar) on 16;
Pascal Palisco (accordion) on 17.

DuOud, _Wild Serenade_ の鍵 Bumcello の片割れ Vincent Segal のアルバムも
同じく Label Blue からリリースされている。こちらは、Segal が2年間の間に
録音したソロもしくは様々なミュージシャンとのデュオの演奏を集めたものだ。

グル―ヴ感すらある Bumcello での演奏と違い、こちらの演奏はもっと様々な
試みをしたもの。それも、せいぜい duo という組み合わせと、多くがDAT一発撮り
ということもあり、ミニマルというか簡素な感じ。アイデアの素描集のよう。

リズムボックスに合わせたソロ "T-Bone Guarerius" や "Under My Thumb" など
Young Marble Giantsを思わせるところもあるし、自ら歌う "Circle Around" など
cello を使ったミニマル・フォークという感じだ。

Buncello などでおなじみの電子的な音弄りも悪くない。しかし、アコースティック
な弓弾きでの Masic Malik や Mama Ohandja での伴奏やソロの "Castor" など、
ちょっと Africa 的な雰囲気を含めて、Ernst Reijseger の _Colla Parte_
(Winter & Winter, 910 012-2, 1997, CD) に近い雰囲気もあって、それも気に
入っている。

掴みが弱いというか、とりとめない感は否めないけれども、Bumcello とか彼らが
絡んだ Dupain や DuOud の作品が気に入っていたなら、その前にあるアイデアを
見るような面白さもある作品だろう。

2003/03/23
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕