Greece (ギリシャ) の北、アドリア海に面したバルカン半島の国 Albania
(アルバニア) の音楽を紹介。

Eda Zari
_Statement_
(Intuition, INT3347-2, 2002, CD)
- Produced by Eda Zari and Mark Joggerst.  Recorded 2002/6-7.
- Eda Zari (vocals);
Family Lela De Permet: "Maestro Lymi" Myslym Lela (ISO soloist vocal),
Fatmir Lela (bakllama,lute,percussion), Ahmet Lela (accordion),
Bilali Lela (dajre), Edmond Lela (Albanian(Qyp) tarabuka,percussion),
Vladimir Gica (soloist clarinet);
Mark Joggerst (piano), Daniel Schroeteler (drums),
Ditmar Fuhr (contrabass,electric bass);
Rhani Krija (Maroccan percussion), Martin Gjakonowski (contrabass).

Eda Zari は、Albania 出身ながら、現在は Cologne, Germany を拠点に活動する
女性歌手だ。いささか pop 寄りの jazz vocalist として主に活動しているようで、
アルバム数枚残しているが、このアルバムは、Family Lela De Permet をバックに
従えて、Albania の folk / roots への指向を強く出したアルバムになっている。
といっても、Mark Joggerst 率いる普段のバンドとの共演でもあり、伝統的な
音作りではなく、ぐっとモダンだ。

Zari の歌唱は、軽くこぶし回すことはあっても、むしろさらっと少し低めで落ち
着いた感じの歌うことが多い。それも、jazz vocal っぽいだろうか。それも、
一つの歌の中で、こぶしを回していたかと思うと、いつのもまにかジャジーな
歌唱になっていたり、と混ぜ合わせていたりする。こぶしの回りはこの程度で
いいとは思うけど、歌唱にもう一癖欲しいかなぁ、とは思う。

Albania 風というか Balkan 風を最も感じさせる要素は、Zari の歌唱よりも、
clarinet の節回しや lute の弦の音、darbuka のカンカンするリズム、それと、
バックの男声の地声の掛け声。"Morra Rrugen..." のような男声ポリフォニーだけの
バックなど、Sardinia の男声ポリフォニーのよう。Balkan 的というより地中海的
なものを感じて、興味深い。

Joggarst を中心とする piano trio の演奏が、流麗で pop 寄りの jazz 歌伴って
感じなのが、いささか予定調和的に感じてしまう原因だろうか。もっとハズして
くれてみてもいいのに、とも思う。

全体的にサラっと仕上がっていて、もう一癖欲しいとは思うけれども。folk / roots
-oriented な jazz の佳作といったところだろうか。Albania のものというのも
珍しいし。今後の展開に期待したい。

Famille Lela De Parmet
_Polyphonies Vocales Et Instrumentales d'Albanie_
(Label Bleu / Indigo, LBLC2503, 1992, CD)
- Recorded 1991/6.
- 1)N'pensheremne E Zotrise Sate 2)C'u Mgrita Menate 3)Beratce Korcarce
4)Kaba Myzeqare 5)C'ke Mog Tambura Qe S'die 6)Leskoviqare
7)Mora Perpjete Carshine 8)Beratce Cance 9)Kaba C'u Keput Njekembemali
10)Kaba E Qara E Meremkes 11)Labrishte
- Remzi Lela (clarinet,vocals), Myslym Lela (clarinet,vocals),
Shqiponja Lela (vocals), Ahmet Lela (accordion), Fatmir Lela (lute,vocals),
Mentor (Xhemali) Gega (vocals), Bilali Lela (percussion,vocals),
Xhihan Xhinani (percussion,vocals), Cerciz Mehmeti (violin,etc).

Eda Zari, _Statement_ は jazz / pop 的な要素との折衷が大き過ぎて Albania
的要素がわかりづらいのだが。_Statement_ で folk / roots 的な要素を担って
いた Family Lela De Parmet も、1990年代前半にCDを一枚リリースしている。

こちらは、アコースティックな演奏で、伝承曲を中心とした演奏だ。複雑なリズム
の曲が多いのは Balkan らしく思うが、それほどリズミカルな曲は多くない。
clarinet と violin の掛け合いが最も印象に残るのは、制作のせいかもしれない。

_Statement_ の folk / roots 的な要素を知るのにはうってつけだと思うけれど、
キャッチのある曲が無いいささか地味なCDだろうか。

ちなみに、Eda Zari は、6歳のときに Dynasty Lela De Permet と一緒に歌う所
から音楽活動を始めたとのこと。_Statement_ での Eda Zari と Famille Lela
De Parmet との共演のきっかけも、そういう昔からの付き合いがあるのだろうか。

2003/03/25
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕