Sevara Nazarkhan _Yol Bolsin_ (Real World, CDRW109, 2003, CD) - 1)Yor-Yor 2)Soqinomai Bayot 3)Adolat Tanovari 4)Ei Nozanin 5)Yol Bolsin 6)Galdir 7)Moghulchai Navo 8)Gazli 9)Orik Gullaganda 10)Yallajonim 11)Alla - Produced by Hector Zazou. - Sevara Nazarkhan (vocals), Toir Kuziyev (doutar,tambour,sato,saz,ud,setor), Shuhrat Mirusmanov (percussion), Xurshid Aripov (nai); Abdulahat Abdurashidov (nai) on 8; Shuhrat Toir-Ogli (contrabass) on 4; Otkir Kodirov (gidjak) on 6; Komil Muminov (kushnai) on 11; Abdurahmon Holtojiev (chang,konun) on 8,11; Hector Zazou (keyboards,loops); Denis Lefdup (string arrangements) on 6; David Fiuczynski (guitars) on 10; Peter Walsh (additional sonic treatments) on 8. Sevara Nazarkhan は、中央アジアは ex-Soviet の Uzbekistan 出身の女性歌手。 Hector Zazou 制作ということで気になって聴いてみたのだが、変に制作し過ぎと いうことなく、楽しめるアルバムだった。 曲は、Uzbekistan の伝承曲をモダンにアレンジした曲が過半を占めている。 downtempo breakbeats 〜 ambient 的な処理も背景にはあるけれども、あくまで 生音や彼女の歌唱を生かした制作になっている。doutar (2弦の saz というか 琵琶のような弦楽器) の弾きながら歌うスタイルをとっているよう。そのせいか、 Zazou の制作のせいか、ビート感は抑え目。ゆったり揺れるような緩いビートに、 コブシも軽やかに Nazarkhan の高めの歌声が、時にエコー処理されながら、 漂うという感じだ。旋律 (旋法) や楽器の音色などは、中近東風というか、 Turkey の音楽を連想させられるところが多い。 このアルバムで僕が気に入っているのは、ベースがしっかり入ったタイトル曲の "Yol Bolsin" やハチロクのビート感もきもちいい "Yallajonim" (Fiuczynski の guitar は何処?) のようなグル―ヴ感がしっかりした曲だ。そういう意味では、 もっとビート感のある制作をして欲しかったようにも思う。しかし、ゆったり した感もある、このアルバムも充分に楽しめると思うが。 彼女での Uzbekistan での立ち位置を掴みかねているところもあるのだが、 "Uzbek Madonna" という呼称も見かける。バイオグラフィーやインタヴュー記事 によると、Nazarkhan はまだ25歳。1998年に女性4人組のポップバンドでデビュー したとのこと。その後、ソロでは jazz バンドと一緒に、Gershwin や Jobim の 曲と、自分の曲を "jazzified" したヴァージョンを、半々で歌っていたという。 最も好きなミュージシャンは Sade だと言うし、彼女のそういう面も聴いてみたい ようにも思う。 2003/04/05 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕