羽野 昌二 & Peter Broetzmann with 一噌 幸弘, 八木 美知依 法政大学学生会館大ホール (市ヶ谷) 2003/04/26, 19:00-21:00. - 羽野 昌二 (drums), Peter Broetzmann (tenor saxophone,tarogato), 一噌 幸弘 (能管, recorder, etc), 八木 美知依 (筝). 2003年春の 羽野 昌二 & Peter Broetzmann のツアーは、和楽器奏者との共演が 目立っていたのだが、ツアー最終日の公演もそう。といっても、Broetzmann & 一噌 といえば、川端 民生 (bass)、古澤 良治郎 (drums) との _Vier Tiere_ (Clockwise, 0010, 1993, CD) という作品もあり、bass-less で筝を入れた編成 となってどう変わるのか、が、聴きに行く前の一番の期待だった。 構成は、前半は、Broetzmann - 八木 duo、一噌 - 羽野 duo で始まり 4tet で2曲。 休憩後の後半は、Broetzmann solo、八木 solo、一噌 solo、羽野 - Broetzmann duo 〜 羽野 - Broetzmann - 八木 trio 〜 4tet、4tet で、アンコールは4tetで 1曲というものだった。 今まで Broetzman や 羽野 のライヴを観た経験から予想されたことではあるが、 やはり基本は激しい音の出し合い。確かに、4人揃ったときの迫力も良いのだが、 展開や音の組み合わせの妙という感じの部分が少ないだけに、むしろ、solo や duo での演奏の方が楽しめた。例外は、八木が歌も歌ったアンコール。この時は、 羽野 が、いつものようにアグレッシヴに叩くというより、ビートを刻んだり、 ちょっとオフビートな感じになったり、と時間伸縮感のある演奏をしたのが 印象的。一噌も、ちょっと柔らかい音の出る横笛 (田楽笛?) を選んで、歌を 生かすような演奏をしたり。こういう展開の演奏を、もっと聴いてみたかった。 個々の演奏については、Broetzmann は頻繁に息継ぎをするのだけど、それが、 今回のステージでは妙なリズム感を生んでいたのが面白かった。bass clarinet の音が好きなので、吹かなかった (ステージ上に持ってきてはいた) のは残念。 snare をほとんど使わないのでドンドコと聞える 羽野 の drums は、和楽器に 交じると、和太鼓アンサンブルみたいに聞えるときがあるのも面白かった。 一噌の演奏は、能管のテンションの高い音も悪くないけど、大きさの割りに 太い低音が出る水牛の角笛がユーモラスで気にいってしまった。八木 もドラムの 撥やバイオリンの弓も使って様々な音を繰り出していたが、弦をカンガンかき 鳴らして、一人で Glenn Blanca の guitar アンサンブルのような音を出して いたときが最も印象に残った。 2003/04/26 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕