Spring Heel Jack _Live_ (Thirsty Ear / The Blue Series, THI57130.2 , 2003, CD) - 1)Part I 2)Part II - Recorded live 2003/1/25. - Matthew Shipp (Fender Rhodes), Evan Parker (tenor saxophone), J. Spaceman (guitar), William Parker (bass), Han Bennink (drums), John Coxon and Ashley Wales (all other instruments and electronics). 1990sは Everything But The Girl の制作などで drum'n'bass の文脈で 捉えられることの多かった Coxon & Wales の Spring Heel Jack (SHJ) も、 2000年代に入ってからは、むしろ、jazz / improv. の文脈での live electronics のミュージシャンとしての活動している。このライヴ録音の新作を聴いていると、 それもすっかり地についてきた感じだ。 _Masses_ (Thirsty Ear / The Blue Series, THI570103.2, 2001, CD) が Cecil Taylor Unit 的、_Amassed_ (Thirsty Ear / The Blue Series, THI57123.2, 2002, CD) が European improv. 的、としたら、この _Live_ は electric Miles 的だろうか。メンツ的には前作 _Amassed_ とほぼ同じなので、最初に聴いた ときは、この音は意外だった。 Fender Rhodes の音色から、そう連想させられるのだろうか。しかし、前作でも Shipp は Fender Rhodes を弾いていた。J Spaceman (a.k.a. Jason Pierce) の ノイジーな guitar が派手にフィーチャーされているし、jazz のイデオムも 使われる、ということもあるだろう。大編成での音の絡み合いが有機的に感じ られるし、長めの時間をかけて盛りあがっていく感もある。そういうところに、 electric Miles や、1970s の electric big band に似た印象を受けている ように思う。 もちろん、trumpet はフィーチャーしていないし、そっくりというわけではない。 SHJ の出す電子的なノイズなどは、やはり1990s以降の音だろう。ソロを回して いるあたりなど、jazz 的なイデオムがほとんど無くなるときもある。さらに、 breakbeats は用いずグルーブ感があまり無いので、いわゆる breakbeat jazz とはかなり違う仕上がりになっている。そしてそういう所も楽しめる作品だ。 2003/06/22 嶋田 TFJ 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/