Ashkhabad _City Of Love_ (RealWorld, CDRW34, 1993, CD) - 1)Ayrylsa 2)Aglar Men 3)Bayaty 4)Balam Seni 5)Shalakho 6)Yaman Ykbal 7)Bibining 8)Aisha 9)Kakan Gyz 10)Ketshpelek 11)Garagum Keshdeleri - Produced by John Leckie. Recorded 1992/8. - Atbai Tsharykuliev (vocal,tar), Gassan Mamedov (violin), Sabir Rizaev (clarinet,soprano sax,serp,nagara), Kurban Kurbanov (accordion,piano), Khakberdy Allamuradov (dep,serp,nagara); Elektra Strings: Sonia Slany (violin), Jocelyn Pook (viola), Caroline Lavelle (cello) on 10; David Defries (flugelhorn) on 10; Bernd von Ostrowsky (acoustic bass) on 3. Ashkhabad _10_ (Dom / Long Arms, CDDOMA02010, 2002, CD) - 1)In D 2)Pictures At An Exhibition 3)Aya 4)Sketches Of The Desert 5)Hard Lot 6)Natural Beauty 7)The Paths And The Return Of Truth 8)From The Mill Till The Railway Station 9)Girl From The Mountain 10)Belly Dance - Produced by Nick Dmitriev & Rustam Suleimanov. Recorded 2002/1. - Gassan Mamedov (electric violin), Sabir Rizaev (clarinet,sobrano sax), Kurban Kurbanov (accordion), Khakberdy Allamuradov (percussion). 旧ソ連中央アジアのトルクメニスタン (Turkmenistan) 出身のバンド Ashkhabad (アシハバード。トルクメニスタンの首都の名前でもある) が、10年振りに新作を リリースした。10年前に WOMAD に参加したりしていたが、最近はあまり西欧ウケ しないのだろうか。Moscow の DOM Cultural Center のスケジュールを見ていると、 そこでよくライヴしているようで、むしろ Russia とかで地道に活動していたの だろうか。 トルクメニスタンの伝統的なウェディング・ミュージックを西洋の楽器を使って 演奏するバンドだ。ウェディング・ミュージックは旧ソ連時代は「宗教的過ぎる」 と非公式の音楽とされていたため、逆に伝統として保護されることなく、 jazz や rock の影響も容易に受けいれられてきた、という経緯があるらしい。 1970〜80sにトルクメニスタンで活躍した jazz rock バンド Rishad Shafi & Gunesh (Moscow, Russia の jazz レーベル Boheme がリイシューしている) へ el. violin 奏者 Gassan Mamedov は参加していたこともある。 しかし、ブラインドで聴いたらバルカン (Balkan) の音楽かと思うような音楽だ。 clarinet や accordion、violin の出す音色といい旋律といい、darbuka っぽい 打楽器が刻むリズム (特に複合拍子) といい、_City Of Love_ での歌唱のメリスマ といい。ブルガリア (Bulgaria) の Ivo Papasov や、マケドニア (Macedonia) の Kocani Orkestar と、音楽的な面だけでなく、ウェディング・ミュージックという 背景を含めて共通する所が多いように思う。バルカンと中央アジアは離れている ようだけれど、トルコとヨーロッパの文化が接する所という点で共通する所が 大きいのだろうか。それとも直接的な影響のルートがあったりするのだろうか。 いかにも world music ブーム期に制作されたと感じさせる歌入りゆったりした 曲が多い _City Of Love_ は、今聴くとちょっと緩い印象も受けるが。 演奏のテンションも高めでノリの良いインストゥルメンタルの _10_ の方が、 遥かに僕は楽しめる。しかし、こういう微妙な制作の違いも時代というか、 欧州市場での流行を感じさせるようで、興味深いものがある。 2003/07/21 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/