Bolao _Back 2 Bahia_ (YBrazil?, YB?CD013, 2002, CD) - 1)Estacao Da Calcada 2)Festa De Largo 3)Camacari 4)Oasis 5)A Viagem 6)Oco Tambor Solido 7)Guadalupe 8)Reed My Leaps 9)Quem E? 10)Bencao 11)Carnaval 12)Pagolada 13)Piano De Barro - Produzido por Tuca Camargo e Mauricio Tagliari - Bolao (percussion,voice), Tuca Camargo (keyboards,Hammond,piano), Mauricio Tagliari (guitarras,cavaquinho,violao), Luca Raele (tenor saxophone,clarinet), DJ Spliff (beats), Quincas Moreira (trombone,bass), Yaniel Matos (keyboards,piano), Luis Alfonso "Montanha" (clarone), Edu Vienna (drums), Zel Moreira (bass). Bolao (Oscar Bolao) に関する予備知識はほとんど無く、手に取ったきっかけは Nouvelle の Maurice Tagliari の運営する Sao Paulo の気鋭のレーベル YBrazil? からのリリースということ。出身地 Bahia へのオマージュとでもいう作品という ことだが、その色が良いというよりも、アレンジというか音作りが良い作品だと 思う。掛け声的な声が入るときもあるが、基本的にインストゥルメンタルだ。 DJも配して微妙に dubwize な浮遊感ある音作りしているところも、確かに好きだ。 オンビートのときは、管楽器の処理といい jazz funk ぽく聴きこえる。しかし、 ストレートにクラブ仕様な音作りではない。アップテンポな percussion に、 ゆったりとした synthesizer が流れそこに Luca Raele (Nouvelle) の抽象的な clarinet なフレーズが炸裂する "Oasis"のような曲が特に良い。"Reed My Leaps" ではオフビートな展開さえ見せてしまう。こういう、音と時間の流れの多層性と 多様性を感じさせる音作りがとても気にいっている。 Anvil FX _Miolo_ (YBrazil?, YB?CD015, 2003, CD) - 1)Carajas 2)Sambinha Do Piscapunga 3)Miolo De Fora 4)Seja O Que For 5)Ennio Morricone 6)Foice 7)Miolo 8)Pombos E Formigas 9)Miolo Da Cabeca 10)Mod.Dular 11)Asimovox 12)Ela-Eu 13)Sexy Punk Remix - Produzido por Paulo Beto. - Paulo Beto (violao,computer), Celio Barros (acoustic bass), Joao Parahyba (percussion), Mauricio Tagliari (flautas pitano), Pat C (voice), Maria do Ceu (voice), Dr. Silvestre (traquitanas electronicas), Miguel Barella (guitarra), Pekka Lehti (acoustic bass), Rodrigo Carneiro (voice), J. Gomes (percussion), IFB (computer), Alda Rezende (voice), Ramiro Marques (alto saxophone,tenor saxophone), Gabriel Levir (accordion), Cintia Zanco (violin), Ana Elisa Colomar (flute), Luis Antonio Ramoska (fagotte), Valeria Zeidan (vibraphone), Quincas Moreira (Rhodes,electric bass,computer). _Back 2 Bahia_ に比べてクラブ仕様なのが Anvil FX のアルバム。特に前半、 日本で特異的に人気がある (「年下の男の子」のカヴァーとか) 在 Berlin の 女性歌手 Pat C をフィーチャーした曲など、ポップな仕上りだ。 しかし、そのままではいかない。表題曲 "Miolo" 以降 "Asimovox" までIDM風の 電子音使いの曲が続くし、その後の Tom Ze の "Ela-Eu" は室内楽的なアレンジ すら聴かせる。最後に、Pat C をフィーチャーしたポップな曲で〆るが。展開 からして一癖感じる。ただ、それが魅力になっているというより、若干焦点が 絞りきれてない印象を与えるのが、惜しいところなのだが。 さて、2年前のリリースとちょっと古いが、最近入手して気に入っているし、 YBrazil? のリリースということで、一緒に紹介。 Walter Franco _Tutano_ (YBrazil?, YB?CD010, 2001, CD) - 1)Nasca 2)Quem Puxa Aos Seus Nao Degenera 3)Tutano 4)Na Ponta Da Lingua 5)Totem 6)Zen 7)Ai, Ess Muhler 8)Intraducao 8)Senha Do Motim 9)Cabeca 10)Gema Do Novo 11)Acerto Com A Natureza 12)Distancias 13)Muito Tudo - Produzido por Constant Papineanu. - Walter Franco (vocals,violao), Joao Parahyba (percussion), Quincas Moreira (acoustic bass), Mauricio Tagliari (violao), Constant Papineanu (guitarra,violao,etc), Victor Lopes (harmonica), Guga Stroeter (vibraphone), Arnaldo Antunes (voice), Nonato Teixeira (bass,live groove), Carlito Rodrigues (bass), Luca Raele (Orchestra Teclados,clarinet), Miranda (mini-moog), Wilson Sukorski (theremin), Nuno Mindelis (guitarra), Anvil FX (keyboards), Estela Cassilatti (voice), Alberto Marsicano (sitar,etc), Doigo Franco (violao,voice), Jarbas Barbosa (guitarras), Curumin (percussion), Apollo 9 (clavinet), etc. Walter Franco は1970sに Sao Paulo で活躍していたロックのミュージシャン。 Tom Ze と比較されるような個性的な音楽をやっていたようだが、僕は聴いた ことが無い。このリリースは、長年のブランクの後の復活盤だ。 オープニングの "Nasca" での Arnarldo Antunes とのデュエットから象徴的 だが、Antunes 同様の癖を感じる。Antunes に比べてサラっとした歌い方だが、 言葉の響きで遊ぶような歌い方が似ている。それから、さりげなく可愛らしい メロディ。このCDを聴きながら、Franco が Antunes のルーツだったのかも しれないなぁ、と思ってしまった。 ミュージシャンは曲によってかなり入れ替わっている。Anvil FX や Apollo 9 といったクラブ系のミュージシャンも参加しているが、その色はあまり無い。 Anvil FX による "Distancias" など、ビートと浮遊感のバランスも絶妙で カッコ良いとは思うが。 しかし、guitar (violao) をかき鳴らしながら歌うような acid folk 的な曲も 耳につく。レーベルを主催している Nouvelle のミュージシャンたちも もちろん参加しており、"Nasca" や "Na Ponta Da Lingua"、"Totem" など、 guitar、vibes や clarinet の控えめな響き、音の間を巧く生かした音など、 Nouvelle とも共通するような音空間になっている。それも、気にいっている。 1970s年代に活躍したミュージシャンが懐古的な文脈で復活しているのではない。 YBrazil? ならではの Brazil の同時代的な音楽として楽しめる一枚だ。 2003/08/03 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/