Bijan Chemirani _Eos_ (L'Empreinte Digitale, ED13147, 2002, CD) - 1)Roudra Lalit 2)Hayat Guzel (intro) 3)Hayat Guzel 4)Nichapour 5)Panjarbi 6)Yavoch Yavoch 7)Jurjuna 8)Ritournelles 9)Noh Zarbi 10)Maria 11)Sitia 12)Fish Dance 13)Yunan - Artistic Direction: Bijan Chamirani and Lucien Massucco. - Stelios Petrakis (lyra,laouto,saz,voice), Loy Ehrlich (hajouj,awicha,kora), Henri Tournier (bansuri,flutes,octobasse), Papa N'Diaye (voice), Maryam & Mardjane Chemirani (voice), Manu Theron (voice), Levon Minassian (duduk), Pierre Ruiz (guitar), Djamchid Chemirani (zarb), Keyvan Chemirani (zarb,voice), Bijan Chemirani (saz,zarb daf,reeq,udu,bendir). Bijan は、イラン (Iran) の zarb (打楽器の一種) のマスター Djamichid Chemirani の息子。兄の Kevyan も zarb 奏者として欧州の jazz / improv 界隈のシーンで よく名前を見るのだが、Bijan を聴くのは初めて。Bijan Chemirani with Ross Daly, _Gulistan_ (L'Empreinte Digitale, EL13127, 2001, CD) の続編とでもいう内容の ようだが、_Gulistan_ は未聴だ。 カンカンと硬質な感じで細かく刻まれる zarb の音が気持ちよい作品なのだが、 僕が最も気に入っているのは、ギリシャ (Greece) というか東地中海の音楽を 思わせる雰囲気だ。クレタ (Creta) 出身の Stelios Petrakis の lyra や saz、 アルメニア (Armenia) 系の Levon Minassian の duduk の音、9拍子や11拍子の ような複合拍子、メリスマの入り方など、ギリシャからトルコ〜アルメニアを 通ってイランに至る音世界を融合させている感もある。題名もギリシャ語だし、 伝承曲は Creta のものが2曲、Armenia のものが1曲だ。ちなみに、残りは、 Chemirani をはじめ参加ミュージシャンたちの作である。 しかし、ギリシャ〜イランだけではない。Henri Yournier の bansuri を フィーチャーしてインドの要素を加えた曲もある。Wolof 系の Papa N'Diaye の歌をフィーチャーした _Hayat Guzel_ など、kola や balafon であるところを lyra や zarb で伴奏したかのような西アフリカ風の曲だ。その一方で、ふっと Pierre Ruiz が jazz 的な guitar で飛びこんできたり。このような懐の広さも、 ここでは魅力になっているように思う。 伝承曲はあまりやっていないものの、東地中海を核とした広めの地域性の捉え方、 アコースティックな音使い、欧州 jazz / improv. 的な要素など、雰囲気としては、 Savina Yannatou & Primavera En Salonica にも近いように思う。一番惜しいのは、 Yannatou のようなキャッチのある歌手がフィーチャーされていないことだろうか。 ちょっと地味な仕上がりになっているように思う。 2003/09/07 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj