The Matthew Herbert Big Band 東京ブルーノート (表参道) 2003/09/17, 21:30-23:00 - Matthew Herbert (electronics), Dani Siciliano (vocals), Richard Pardy (saxophone), Simon Niblock (saxophone), Nigel Hitchcock (saxophone), Martin Williams (saxophone), Robert Mckay (saxophone), Adam Linsley (trumpet), Graham Russell (trumpet), Andrew Cook (trumpet), Stuart Brooks (trumpet), Patrick Hartley (trombone), Trevor Mires (trombone), Chris Cole (trombone), John Higginbotham (trombone), Phil Parnell (piano), Russell Swift (bass), Peter Cater (drums), Peter Wraight (conductor). 去年8月に続いて2度目の来日。前回が、Liquidroom というクラブ寄りのハコ だったのに対して、今回はジャズ寄りのハコだ。しかし、前回よりバンド色が 濃く感じられたのは、前回が日本で集めたミュージシャンを中心とした編成 だったのに対して、今回は、_Goodbye Swingtime_ (Accidental, AC05, 2003, CD) に参加したミュージシャンを中心に、総て連れて来たミュージシャンだった、 ということが大きいかもしれない。前回に比べて管楽器は良く鳴っていて 厚みを感じる音になっていたように思う。前回はほとんど無かったソロを 取らせるところもあって、そういう所も良かった。_Goodbye Swingtime_ に 収録されている演奏よりも、格段にいきいきとした演奏だ。 しかし、正直に行って、_Goodbye Swingtime_ 収録曲などビックバンド向けに 作った曲を中心にやった前半は、どうしたものか、と思った。前回の来日公演 を観て、バンドの音が厚くて音弄りに強い必然性が感じられない、という 物足りなさを感じたのだけれど。今回も、ほどんど変わったと感じられな かったからだ。ライブをくり返してこなれた感じになっているのではないか、 と期待したところもあったので、これは残念。ま、Herbert は、それはそれで 納得しているのだろうが。 結局、聴いていて盛りあがってきたのは、もやはスタンダードともいえる "Cafe De Flore" (もともと Doctor Rockit 名義の曲) を演ったあたりから。 初めて観た2001年のライブでの Herbert のアコーディオン演奏が単に音を 出しているという感じだったのに比べると、上達したものだ、と思ったり。 Herbert 名義の曲の "Bodily Functions" や "The Audience" を演っている ときの方がずっと良いように感じられる。Dockor Rockit や Herbert での 曲のカバー集のアルバムを作って欲しい、と思うくらいだ。結局、もともと スカスカ気味の曲の方が、ビックバンドとして弄りやすいってことなんだろうか。 薄めの音といえば、前回のライブではアンコールで、二管の小編成コンボで "Leave Me Now" をやってくれて、それがとても良かったのだが。今回はそれが 無かったのが残念。もちろん、前回の場合は、予定外のアンコールに応じる ためという苦肉の策という面もあったと思うが。 新聞を破る音を演奏にしたパフォーマンスも、Herbert ならではの楽しさだ。 今回は使い捨てカメラを使って、音だけでなく光も取り入れていた。もちろん、 新聞破りは前回もやっているし、半ば御約束のところもあるのだが。例えば 大道芸のハプニングもそういう面もあるわけで、それに近いものを感じる。 sources: Matthew Herbert, http://www.magicandaccident.com/ 東京ブルーノート, http://www.bluenote.co.jp/art/20030915.html _Goodbye Swingtime_ レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/03051101 前回来日公演レビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/02081801 2003/09/18 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/