Paolo Fresu _Sono 'E Memoria_ (ACT, 9291-2, 2001, CD) - 1)Pregadoria 2)Freentry 3)Ballu 4)Sa Pastorina 5)Salisolo 6)Wanderlust 7)Mo E La 8)Ite Bella 9)Filugnana 10)Bass'n'Drum 11)Sonos 'E Memoria - Music and Original Soundtrack from the Film of Gianfranco Cabiddu. Musical Director: Paolo Fresu. Produced by Gianfranco Cabiddu. Recorded live 1996/4/29,30. - Elena Ledda (voice), Paolo Fresu (trumpet,flugelhorn), Furio Di Castri (bass,multieffects), Luigi Lai (launeddas), Mauro Palmas (mandola), Antonello Salis (accordion), Federico Sanesi (percussion), Carlo Cabiddu (voilincello), Coro "Su Concordu 'e Su Rosariu" di Santulussurgiu (voices): Mario Corona (sa contra), Giovanni Ardu (su bassu), Antonio Migheli (sa'oghe), Roberto Iriu (su contraltu). Paolo Fresu は、Berchidda, Sardinia 出身だが、特にその地域色を強く出さずに 広く欧米の jazz シーンで活躍している。僕が一番印象に残っているのは、 Aldo Romano (drums)、Michel Benita (bass)、Glenn Ferris (trombone) との Palatino だろうか。そんな Fresu が音楽監督をした映画音楽、というか、 映画の上映に合わせてのライヴ演奏を録音したものだ。 僕がこの盤を手に取った理由は、Sardinia の roots の女性歌手 Elena Ledda や、 Sardinia の男声コーラス隊 Coro "Su Concordu 'e Su Rosariu" di Santulussurgiu が参加しており、いかにも Sardinia の roots 色濃そうだということだった。 といっても、以前に Elena Ledda, _Sonos_ (Felmay, FY8030, 1994/2001, CD) を 聴いて、非 roots 的要素の sax のソロが悪い意味で fusion 臭く、全体として 印象薄かったのだが。 冒頭の "Pregadoria" にしても、Palmas の mandola の伴奏での Ledda のちょっと メリスマ入った歌唱は相変わらずなのだが、ちょっと不穏な Salis の accordion や、 jazz 的にオフビートな Sanesi な drums や Di Castri の bess のおかげで、 ぐっと緊張感が高まってかっこよく聴こえるように思う。Fresu のミュート聴いた flugelhorn の音も加わって、roots 的な展開の "Pregadoria" から電子的な 音弄りもアリのimprov. 的な展開の "Freentry" へ。そこから、launeddas (bagpipe 風の Sardinia の reed 楽器) の高い響きが涌き上がってきて、 percussion (frame drum 風) との掛け合いで、Sardinia の伝承的なダンス曲風 の曲 "Ballu" を始める。そこで一度演奏が切れて、今度は男声地声コーラス ("Sa Postorina") の導入から、Salis の accordion のソロ即興 ("Salisolo") へ。 "Wanderlust" で Fresu / Salis / Di Castri / Sanesi でゆったりめの jazz 4tet 的な演奏を 聴かせた後は、violincello の導入から mandola / percussion の 伴奏で Ledda の詠唱だ ("Mi E La")。こちらは比較的伝統的な感じで、メリスマの 入り具合からしても、Greece 〜 Turkey の音楽にも近いように感じる。再び 男声地声コーラスの後は、Ledda の歌う "Filugnana"。こちらは、jazz / improv. 的な要素が強く、"Pregadoria" と同じような感じだ。"Bass'n'Drum" で控えめな Di Castri と Sanesi を聴かせた後は、大団円的な組曲 "Sono 'E Memoria"。 といってもメンバーがいちどにどっと演奏するのではなく、10曲目まで別々の 曲としてやってきたようなモチーフが短めに入れ換わっていくという感じだろうか。 惜しむらくは、男声地声コーラスが他の演奏と絡むところがほとんど全く無かった ことだろうか。Ernst Reijseger / Tenore e Cuncordu de Orosei, _Colla Voche_ (Winter & Winter, 910 037-2, 1999, CD) のようなものもあるし、絡めることも 可能だと思うのだが。 いろいろやっているが、それほど散漫にはなってない。アコスティックな roots 的演奏一色なら飽きていたかもしれないが、むしろ変化を加えることによって、 いい感じの緊張を保ち、通して聴かせるものになっているように思う。Ledda の 歌声ってこんなに良かったっけ、と、思わず _Sonos_ とか聴き直してしまった程だ。 ちなみに、演奏に合わせて上映された映画は、Archivio Storico Cinematographico dell'Istituto Luce (Luce Institute's Archives on the History of Cinema) にあった Sardinia の記録映画を元に編集したもの。その映像は無いけれども、 音による Sardinia 紀行という感じで楽しめるだろう。 sources: Paolo Fresu, http://www.ijm.it/fresu.html _Sono 'E Memoria_, http://www.actmusic.com/act9291.htm ACT, http://www.actmusic.com/ 2003/10/05 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/