5年前のリリースなのだが、最近入手してとても気に入っているので、紹介。 Gacha Empega _Polyphonies Marseillaises_ (L'Empreinte Digitale, ED13080, 1998, CD) - 1)Qu'es Aquo Un Gacha Empega? 2)Engambi 3)Quand Auserian Lei Novelas 4)Satan 5)Lo Marrit 6)Lo Mossi 7)Barjacadissa 8)Adieu Paure Carnavas 9)La Man Marideia 10)Vaqui Lo Polit Mes De Mai 11)La Tradicion... 12)Vautrei Que Siatz Assemblats 13)Lo Boier La Novia 15)Barjacadissa 16)La Romanca De Clotilda 17)Non Poiria Anar Plus Mau 18)Lo Miserere - Recorded 1998/2. Mixed by le Phoceenne de Dub (Moussu T., Janvie Jalal "Claider" D. & Gari Greu (Massilia Sound System)). - Barbara Ugo (chant,bendir,tambourin), Manu Theron (chant,bendir,tambourin), Sam Karpienia (chant,bendir,tambourin). 南仏プロヴァンスはマルセイユ (Marseilles, Provence, France) を拠点に活動した 3人組。「マルセイユのポリフォニー」という題から、コルシカ (Corsica) や サルディーニャ (Sardinia) などの地中海北岸の伝統的な無伴奏な合唱みたいな ものいう印象を受けがちだし、伝承曲を中心に演奏しており実際そういう面もある のだが、もっとリズミカルでモダンな音楽だった。 タンブリンを叩きながら半ばラップするかのように歌い、若干 dub 的な音処理も 加える、というスタイルは、やはり南仏はトゥールーズ (Toulouse) を拠点に活動 する Fabulous Trobadors に近いものがある。ただ、Fabulous Trobadors の方が ラップ的だ。Gacha Empega は、確かに "Non Poiria de Clotilda" のような drum'n'bass 風の打ち込みが入ってくるときもあるが、全体的に効果音的な控えめ な音弄りで、コルシカ〜サルディーニャとも共通する地声合唱を生かしたものに なっている。ちなみに、音弄りを担当しているのは、同郷の alternative な dub バンド Massilia Sound System (Mad Professor などと共演もしている) 界隈 のミュージシャンたちだ。ニューエイジ的に洗練されずに、むしろ、さりげない 音処理に同時代的なものを感じさせつつ、タンバリンと地声合唱の荒削りな力強さを 生かした仕上がりになっているのがとても気に入っている。 この1枚のアルバムだけで目だった活動をしていないようだが、Manu Theron は、 やはり Provance の mandolin 奏者 Patric Vaillant らと Chi-nana-pon という バンドで活動しているようだ。Sam Karpiena は、vielle-a-rue や tambourine を 使い Oc 語で歌う alternative なバンド Dupain (2枚のアルバムがある) の メンバーとして活躍している。Dupain はかなり好きなバンドなので、こういう ルーツがあったと知ったのも、とても興味深かった。 sources: Gacha Empega, http://membres.inforoots.org/gachaempega/ Dupain, http://www.dupainweb.com/ Dupain, _Camina_ (2002) のレビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/02103001 Dupain, _L'Usina_ (2000) のレビュー, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/00102202 2003/12/21 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/